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【82】B u r n M y D r e a d 志乃 07/8/31(金) 22:10
【83】Re:B u r n M y D r e a d 志乃 07/8/31(金) 22:38

【82】B u r n M y D r e a d
 志乃 E-MAIL  - 07/8/31(金) 22:10 -
  
一番古い記憶は額から血を流した俺が気絶した弟を背負いながら、包丁振り翳して俺を生んだ女から逃げている所。中々強烈で、あんまり体験出来ない事だからよく覚えてる
あぁ鬼婆ってこんな奴なんだろう、なんて、思った。


化け物


俺は母親からその呼び名で呼ばれ続けていた 外見が他と違っていた訳じゃなく、内面的に違う箇所があったからだろう。
別に見たくもないのに、他の奴等には見えないモノが見えていた。
時には声も聞こえたし話しかけられる事もよくあった。
俺はその度に一緒に話したり笑いあった。
母親によく注意をされたが無視していた。
俺を人間扱いしない奴の言う事なんて聞く価値何かない。
俺をちゃんと人間扱いしてくれる家族なんて弟しか居なかった。
弟しかいらなかった。
でもそいつもそいつでやっぱ変な風に生まれていた。
俺は見えるし祓えたりもしたが
弟は見えないのに引き寄せる方だった。けれどその事に気付いていない母親は弟の方を可愛がっていた。
別に羨ましい、とは思わなかった 鬱陶しい、とは思った。こんな女なら捨てられて当然だった。


授業を終え家に帰ると、リビングで幼稚園から帰ったばかりの弟の首を母親が絞め
ていた。
とりあえず小さい自分じゃ突き飛ばせないだろうと思い、近くにあった椅子を
投げつけた。
痛みに呻く母親を無視して抱き起こした弟はかろうじて生きていた。
でもまぁとりあえずは病院だよな、と小さな体を背負おうとしたら包丁の柄で殴られた(痛い)
多分、絞め殺した後に包丁で喉でも切ろうと思っていたのだろう。
台所にいつも置かれている包丁を両手で握り締めその女は何か呟いていた。ぶつぶつぶつぶつぶつ、何かを呟いていた。
ぼんやり眺めていると殴られた時に切れたのだろう。額から血が流れてきた。舌で舐めると、鉄の味がした(良かったきっと俺の血は赤い)


「お前の所為だお前の所為だお前の所為だお前の所為だお前の所為だお前の所為だ」
「・・・・・何が」
「お前の所為で私は捨てられてしまったお前なんかを生んでしまった所為で」
「人のせいにすんなよ」
「じゃあどうして私は捨てられたの!?」
「てめぇがろくでなしだからだよ!!」

呆れたように返せば充血した目を見開いて包丁を握ったまま叫んでしまった(あぁ、五月蝿い)
せめて泣いていたなら少しは同情したかもしれないのにこの女、
なんて酷い顔してるんだろ。
まるで鬼だ。あぁそうか、鬼から産まれたから俺はこんな力なんて持ってるのか。
うん、納得。してる間に女は急に突進してきた。包丁を握り締めた女は何か
を叫んでいたが何を叫んでいるのかも分からなかった。
身を屈めて避けると同時に足を引っ掛けると馬鹿みたいに引っ掛かった女は食器棚に頭から突っ込んでいた。よろよろと起き上がる女を無視して気絶してしまった弟を背負い、家を出た。直後走った、情けないけれど、逃げるように走った。追いかけてきた(やっぱり)


「-------------------------!!」
「何言ってんのか解らねぇよ」


多分『待て』と言っているのだろうが、喉を潰したようにその音は不明瞭で音と言うよ
り雑音そのもので何とも耳障りだ。空は赤くて黒ずんでいた。道を歩いている奴等は驚いた顔をしていた(それもそうか)
でも誰も助けてくれない(当然だ)走って走って走って走って走った。
信号の色が青から赤に変わろうとしている(どうでもいいけど青ってより緑だよな、あれ)
青が点滅している、横断歩道の真ん中。黄色、渡り終えた。赤、後ろから急ブレーキの音、何かが轢かれる音、女の悲鳴、通行人の悲鳴。呼吸を整え
る為に足を止めて振り返る。


         出 来 立 て の 死 体 が 転 が っ て い た 。
引用なし
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【83】Re:B u r n M y D r e a d
 志乃 E-MAIL  - 07/8/31(金) 22:38 -
  
警察に保護された後。
オレは親父の家に引き取られた

親父の家に住むようになってから弟と過す時間が短くなった。
この訳の分からない意味不明な力は父親譲りらしく、
しかも修行次第では頭領になれると言われた(阿呆か)修行なんて馬鹿らしくてくだらなくてサボった。
弟と遊ぼうと部屋に行くと蛻の殻、親父の部屋に駆け込めば小さな動物用の檻に入れられた弟がいた(しかも眠ってやがる)
どうやら人質らしく、俺はこの家にいる間親父の命令を全て聞き入れなくてはならなくなった。『お前に自由などある筈無いだろう』と、偉そうに言った奴に俺は
くたばれ、と吐き捨てた。

とりあえず西洋・東洋は一通り習った。
どれもこれも単純過ぎて修行じゃなくて幼稚園で習うようなお遊戯程度のものだった
半年ぐらい経った頃、屋敷にいる連中は俺の事を『次期頭領』なんて言い始めた。最初は目にも入れなかったくせに、何て軽い奴等なんだろうと吐き気がした。
たかが七つの餓鬼に堅苦しい。阿呆くせぇ。テメェ等全員地獄に落ちろ。


「お兄ちゃん」


しもんはいつも擦り傷を作っていた。
普通に歩いているのに、何もない所でよく転ぶ。他の連中は『可愛い』なんてほざいてるが(いや確かに可愛いけど)
その原因を知っている俺は自分の無力さを嘆いた。
屋敷には結界が張られているのに、年代物の所為かたまに小さな綻びから低脳な奴等が侵入してくる(デカいのは見た事が無い)
ソイツ等は好き好んでしもんに近寄って足を引っ張り、転ばす。
攻撃系は申し分ないのに、防御系は何故か巧く出来なかった。
もっともっともっと、強くなって。速く速く速く、強くなって。しもんをしもんだけを、護れる様になりたいと祈った(他の連中なんざ知るか)
(勝手にくたばれば良い)あぁ、速く自由に成りたい。その時はすぐに訪れた。


「もう好きにしていいぞ」


高校の入学式から帰ると呼び出しを食らい、わざわざ部屋に行ってやると唐突にそんな
事を言われた。断る理由なんて皆無。


「今まで世話になった」


さっさとこんな部屋を出てしもんを迎えに行こう踵を返し、損ねる。偉そうな豚野郎が
正座している。んな事は見りゃ分かる。その隣に居るのは、


「何で此処に 森利(シンリ)が居るんだよ」
「条件があるんだ、森羅(シンラ)」
(会話のキャッチボールぐらいしようぜ、父親)


親父に寄りかかるように眠っている弟はは微動だにしない
どうせまた薬でも嗅がされたんだろうな なんて親だ 後遺症が残ったらどうしてくれる
檜で出来たテーブルの上に、紙が一枚置かれる。
小さな文字が並んでいて今の位置からは内容まで分からない。確実なのは、それがとても嫌な予感のする代物だと言う事。


「何だよ、これ」
「契約書だ」
「何の」
「お前の力を失うのは惜しい」
「知ったこっちゃねー」
「だがこっちの子供は必要無い」
「殺すぞ。」
「契約を結ぶのであれば、これはお前にやろう」
「とことん糞野郎だな。反吐が出る」
「お前にも同じ血は流れている」
(、だろうな)


利用出来る物は何でも利用する。拒否された場合、強制的に捻じ伏せる。
その事には大いに同意する。
まさか、自分がその立場に立たされるとは思ってもみなかったが(予想は、してたな)
契約書の内容は至ってシンプル。何か依頼や非常時が起きた場合、全てを投げ捨てただちに処理。
それだけ、たったそれだけの事に森利を巻き込みやがって。
もうコイツ殺した方が世界平和に繋がるんじゃないか?オレの能力は親父より強いし、
でもまだ未成年である自分には保護者が必要。
今はまだ飼われていよう。ぐったりしている森利を抱きかかえて、やっと部屋を後にする。


「飼い狗に手ぇ噛まれないよう気をつけろよ」
「その時は子犬を目の前で潰してやるさ」
(生きた侭捻じ切ったら面白いだろうな)


このまま


「兄さん、起きてよ。遅刻するよ」
「昨日遅かったんだから寝かせてくれよ」
「遅くまでゲームやってるからだよ」
「ラスボス倒さないと気になって眠れないんだよ」
「だからってオレのベッドでわざわざ来ないでよ」
「一人じゃ寂しくて眠れない」
「病院行けば」
( 冷 た い )


寝起きの悪い俺は毎朝森利に起こされて朝を迎える。
携帯のアラームを使ったり目覚まし時計を五個ぐらい常備しているのだが、何故か鳴らない。
と言うか鳴る前に破壊されている。不思議だ。携帯だけは無事だから尚更不思議だ。ベッドの上で背伸びをしているとピンクのフリフリエプロン(オレがやった)を付け呆れた顔でこっちを見ている森利と目があった。


「おはよ」
「・・・・・いい加減時計壊すのやめてよ」
「俺がやったのか?」
「動画で撮ってるから見る?」
「いや、」


ふるふる首を振って拒否ればポケットから携帯を取り出していた森利は『そぉ?』と
残念そうに仕舞いなおした。くそ、次買うならカメラが付いてない機種にしてやる(今時そんなのあったっけ?)俺は俺で何も変わらないのに(多分)
森利は随分と、


「したたかになったよな」
「・・・・・お陰様で」


何故か目を反らされてしまった。俺何かしたっけ?


掟で弟として育ててきた『妹』は こえぇ
引用なし
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