●Project O BBS
  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃設定 ┃ホーム ┃使い方  
10 / 12 ツリー ←次へ | 前へ→

【54】Europa-0120 REDCOW 07/4/26(木) 22:13

【59】Europa-0120 REDCOW 07/11/23(金) 15:39

【59】Europa-0120
 REDCOW  - 07/11/23(金) 15:39 -

引用なし
パスワード
   「…進路、2026103。空間グリッドLSW324162マーク3。フェアレディは旗艦エンタープライズの後方を行く。」
「館長、エンタープライズからOnet(光通信)暗号回線が繋がっています。回線接続を許可しますか?」
「うむ、繋いでくれ。コンピューター、スクリーンオン。」
 
 スクリーンに映し出された人物は、白髪のコーカソイド特有の掘りの深い顔立ちをした紳士で、襟章には連邦軍最高指令である提督の証が輝いている。
 
「やぁ、ダン。どうだね新造艦の具合は。」
「提督、現在当艦の運用に目立った問題は起きておりません。予定通り、これからの演習に備えられるかと。」
「ははは、そうかね。まぁ、飽くまで演習とはいえ、手は抜いてくれるな。…我々が本気だと言う事を、相手にも分かってもらわなくてはな。」
「当然です。自分も提督のお考えに相違ありません。全力で任務に取り組み、必ずや大きな成果をお見せしましょう。」
「頼もしい。期待している。…まぁ、とはいえ、君らだけじゃない。我々も良い格好をさせてくれ。」
「それは勿論。エンタープライズに適う敵はおりません。それだけじゃない。連邦の旗艦が4隻です。我々は出させて頂けるだけで光栄の極みであります。」

ぴー!ぴー!ぴー!

「どうした。報告。」
「館長、前方に艦隊らしき機影が見えます。我が方に向けて前進してきている模様です。」
「うーむ。当艦は旗艦エンタープライズの指示に従い、後方を行く。第一戦闘配備。各員、持ち場に着け。これより、フェアレディは戦闘領域に突入する。」
 
パイロット控室。

「第一戦闘配備だってよ。」
 
 二卵性の双子の妹に話しかけるのは、眉目の整った長身の青年。名をオルドーと言い、この作戦での従軍が初の新兵だ。
 彼が話しかけた相手である妹は名をミリアと言い、既に幾つかの作戦で高い評価を得ているニュータイプパイロットとして知られている。
 彼女は双子の兄の言葉を聞く前に、既に何かを感じ取っていた。それは微かだが、自分と同じ能力を持つ者の波動。しかし、この艦には彼女同様のニュータイプは沢山乗艦している。だが、その感じとも違う、どこか無機質で機械的なものだ。
 
「あら、兄さん。ねぇ、感じる?」
「いや。」
「そう、…気のせいかしら。」
 
 彼女は双子の兄が何も感じていないという話に、気のせいだと思う事にした。何よりその反応はもう無い。彼女が控室のドアの方を向くと、1人の男性が入ってきた。その襟章には大尉の階級章が付いており、彼女の上官でありチームリーダーの男だ。

「何をしている。アラートを聴いただろう。早く乗れ。」
「は、申し訳有りません。すぐに向かいます。」
 
 二人が敬礼し謝罪する。
 大尉は彼らに礼を返すと、自身もヘルメットを取りにロッカーへ向かう。
 そのすれ違い様、ミリアは彼に小声で話しかける。
 
「大尉、先ほど何か感じませんでしたか。その、微かに機械的な…。」
「…そうか。お前もか。」
「では、大尉も。」
「…相手も俺達と同じかもしれない。心して掛れ。」
「はい。」
 
 部下達が出て行く。
 彼は自分のロッカーを開けると、自分専用のヘルメットをとり出した。青い偏光グラス付きの特注品で、被ってしまえば表情は見えない。彼はそれを装着し、側面のボタンを押すとスーツとヘルメットが密閉された。
 ヘルメットのウィンドウに様々な情報が映し出される。そこにメッセージが幾つか入っていた。
 
「メッセージが2件、入っています。」
「メッセージを全てオープン。」
 
 彼の命令に従って一通目のメッセージが開かれた。
 
「…残念な知らせよ。艦隊司令部はあなたの退役を考え始めたわ。もう、私でもあなたを繋ぎ止めるのは厳しいわね。フェアレディでの仕事が、あなたの最後の任務と思って間違いないわ。…よりによって、ジェガンでなんて…。死んだって、葬式なんて挙げないからね。……必ず帰ってくるのよ。」
 
 続いて二通目を開く。
 
「アナハイムのマリアです。大尉のジェガンに実装しましたジャンクションですが、シンクロ率がやはりデルタシリーズ程には上がりませんでした。ですので、私の独断ではありますが、先日お話しましたサイコフレームと直付けする形式に変更しました。実シンクロ率はぶっつけ本番ではありますが、これで上がるはずです。…本来なら大尉がデルタに乗るべきだと、私は思います。…出過ぎました。申し訳有りません。では、ご報告までに。」
 
 彼は一通りメッセージを聞き終えると、目を閉じた。
 
「全件消去。…メッセージウィンドウ、クローズ。スクリーンオフ。」
 
 彼は目を静かに開くと、颯爽と控室を出た。


キャラ設定補足

 ダン・クロード・マケイン大佐(45)
 New-hybrid計画新造艦であるフェアレディ号の艦長。自身はNTの才能をそれほど持ち合わせているわけではないが、軍の佐官クラスでは数少ないNT能力者の一人。冷静で取り立てて派手な所は無いが、堅実で確実な指揮能力が持ち味。ただ、その取り立てて派手ではない部分は、時にマニュアル的で能動的であるとは言い難い。
 
 ケリー・ドロシー・クインシー中佐(38)
 フェアレディ号副長。女性高官としてはルー・ルカ大佐と並んで注目を集める彼女は、ルー・ルカ大佐にはないNTの才能も持つことで知られる。高いNT能力者の集団であるフェアレディ号のクルーの中でも、彼女の存在感は大きい。特にこの艦が「フェアレディ」という名がついたのも、彼女が由来と言われている。
 
 ヨーコ・シモダ大尉(30)
 フェアレディ号メインパイロット。連邦軍屈指のエリートパイロットと名高い彼女だが、その名声も数々の高官との浮いた噂の上に有るといういわく付き。しかし、それでも実際の操舵能力の高さには定評があり、彼女がエリートと言われるだけの理由は伺える。
 
 カーナ・グレナ・クラーク少尉(25)
 フェアレディ号の通信システムオペレーター。ニュータイプ能力も僅かに持つ彼女はクラーク中将の三女。才色兼備の才女で軍内部での将来の期待も高いが、父であるスティーブは彼女の軍への入隊は勿論、今回の従軍にも猛反対した。しかし、彼女もなかなかの切れ者で、父の説得を上手く交わしてフェアレディ号で後方支援するということで納得させる。何が有ろうと芯の一本通った女性。
<Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X Mach-O; ja-JP-mac; rv:1.8.1.9) Gecko/2...@Ta1.V9385d3.rppp.jp>

  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃設定 ┃ホーム ┃使い方  
10 / 12 ツリー ←次へ | 前へ→
ページ:  ┃  記事番号:   
9113
(SS)C-BOARD v3.8 is Free