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「おい、俺って最強の戦士なんだぜ」
同僚のハードが変な事を言い出した。
「じゃあ、お前、あの勇者様にも勝てるのか?」
「ああ、もちろん!」
ハードは確かに弱くはないが、うわさの勇者様ほどではないと思う。
「じゃあ、魔王も倒せるのか?」
「も、もちろん」
一瞬言葉を濁したから、やっぱり自信がないのだろうか。
「まあ、この時代だ。いつ魔王軍がせめてくるか分かったものじゃない。ただ、俺たちはやるべきことをやるだけだ」
「いつ死ぬか分からないしな」
つらい時代に生まれたものだ。
魔王軍と戦えば、ただではすまないだろう。いや、きっと死ぬと思う。俺はただの一兵士、勇者でもなければ才能のある戦士でもない。この間ある場所で食用カエルと戦ったが、本当に死ぬところだった。
食用カエルってあんなに強かったのか? ギリギリで倒す事はできたが本当に辛い戦いだった。そういえばその時ハードもいたが、戦闘不能になってたな。
「なあ、ハード。ゼナンの橋は大丈夫か?」
「大丈夫さ、なんってったって俺がいるんだからよ!」
「大変だ! お前ら!」
その時、騎士団長が慌ててやってきた。
「なんすか?」
「ゼナンの橋に魔王軍が現れた!」
「なんですって!」
「はやくこい! 出撃だ!」
魔王軍と戦って勝てるわけないでしょ……うちら、食用カエルに瀕死だっつーの。
「燃えてきたぜ!」
ハードを見るとやる気まんまんになっていた。お前、食用カエル相手に戦闘不能だったじゃん。
俺たちは覚悟を決めるとゼナンの橋へ向かい走り出した。
骨になる事も知らずに……
<了>
中途半端な小説を書いてしまいました。ゼナンの橋で骨になって襲ってくる兵士達。そんな人たちにも物語ってあるのかなって思って書きました。
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