新規投稿 ┃ツリー表示 ┃一覧表示 ┃トピック表示 ┃検索 ┃設定 ┃PCホーム ┃使い方 ┃携帯ホーム  
2 / 38 ツリー ←次へ | 前へ→

【147】強くてクロノTrigger まえがき Double Flags 08/8/12(火) 2:14

【203】-31- (第九章 魔の村の人々9近海の主その二) Double Flags 10/9/20(月) 21:05
【204】-32- (第九章 魔の村の人々10ルッカの家) Double Flags 10/9/20(月) 21:07

【203】-31- (第九章 魔の村の人々9近海の主その...
 Double Flags  - 10/9/20(月) 21:05 -
  
「世界が狭いぞヘケラン。そして私に水を浴びさせたことを後悔させてやる」
 水に濡れたシェアは妙に色っぽかった。それはさておき、シェアの動きは守られているマールから見ても尋常では無かった。
(これがクロノの師匠……何回見てもすごい)
 ヘケランは動き出す。
 ヘケランは腕を大きく振りかぶった。手の先のツメが光る。
 瞬間的にヘケランの殺気が膨れる。
 シェアは剣でツメをさばいて、近接距離から離れようとする。

  ●うぉ〜た〜・ぼぉ〜る(青)

 眼前に体を覆うほどの水の出現。
(エレメントか!!)
 水がシェアを包む。
 とっさにヘケランは何かを手で落とした。
 みるとそれは矢。
 水に包まれるシェアはその様子を見た。
(弓矢? マールか)
 マールは離れたところから、弓を構えている。
 弓を中心に、魔法の構成が描かれる。

  ”アイスショット”

 無数の氷の矢がヘケランに向けられる。
 すでに避けるのは無理と判断したヘケランはエレメントを握る。

  ●う〜はぁ〜(緑)

 よほど強いグリッドレベルだったのか、氷の矢が風により吹き飛ばされる。
 同時にヘケランのエレメントから解放されたシェアは銃を構える。

   ダッダン

 2発の銃弾が近距離でヘケランの手を貫通する。

   クァッァァァッァァァァァァァァアアアアアア

 ヘケランは叫び、グリッドを開く。

  ●うぉ〜た〜・ぼぉ〜る(青)

 グリッドレベルの高いエレメントを使い、銃を構えたままのシェアを一瞬で包む。
 血の流れる腕を押さえると、別の気配を感じその場を離れる。
  ”王の頂(クラウン)”
 真空の刃を無数に放つクロノの一撃が飛ぶ。
 なぜかヘケランを透過する。
 ヘケランにダメージを与えられなかった代わりに、シェアを包んでいたエレメントを切り裂く。
 水の檻から解放されて、濡れた服を軽く払いシェアは銃を収め、細長い剣を抜く。

   カンッ

 音の鳴るほうを見ると、マールの弓矢をツメで払っていた。
 敵を見失わず、マールはヘケランを攻撃していた。
「残像ではないか、屈折か幻か」
 さっきのクロノの攻撃が素通りしたヘケラン。
 これは特殊能力と考えてよいだろう、すでにこのように不思議な力が追加されている敵と戦っているのでそれほど動揺もないが、これを打ち破る手を考えなければならない。
 ヘケランは肉ダンゴが転がっている様に突進する。

   ダダダダダダ

 地響きが周囲のものの足場を乱す。
 マールの矢を弾き勢いを増すヘケラン。
 シェア、クロノの脇を通り生み出した空圧で、二人の身動きをとめる。
 その時、クロノの目にヘケランの魔法の構成が見え、あの突進が魔法を隠すものだと気づくが空圧のため動けない。それはシェアも同じ。すぐに対応するために構える。
 ヘケランの魔力が動く。

  ”弾丸・うぉ〜たぁ〜が”

 水の魔法がクロノ、シェアに向けて高速で放たれる。
 クロノは刀でその一部を切り裂き、天の魔力で水の界面から強力な電気分解を起こしてその場をしのぎ、シェアはさっきと同じように空圧で魔法を切り裂いていた。
 連続で放たれる魔法の効果が切れると、クロノはすぐに動き出しヘケランを狙うがその斬撃は素通りしてしまう。

   キキキ

 少しはなれたところで金属のきしむ音。
 シェアがもう一体のヘケランの相手をしていた。
 どうも幻が、感覚を鈍らせる。
 ほんの少し前まで動いていたものが、瞬時に動かない映像と化す。
 全力で振るっているため、その反動だけが腕の中に残るというものは厳しい。
 一方で、シェアはヘケランを押していく。
 そして、

   ザッバッ

 ヘケランの指を二本斬り飛ばした。
 ヘケランの声は無い。
 そこに畳み掛けるように剣を突き出すが、シェアの反応速度をほんの一瞬越えて、叩きつける。
 地面に叩きつけられて、さらに滑る。
 大きく離れたのを確認すると、ヘケランは周囲に魔法陣を描く。慣れ様でもあり一気に何重にも魔法陣を描くと、その配置からさらに巨大な魔法陣を構成させた。

  ●ふりぃ〜ず・ふぃ〜とぉ〜(固有・青)

 白い波が襲う。
 一面を強烈な冷気によって極寒の空間による氷の粒が舞う。
 シェアは思わず、グリッドを手にエレメントで防ぎ、クロノはマールを守りつつ、雷撃で威力を減じた。

 マールはクロノに抱きかかえられるように冷気から守られた。二人は密着していたが、マールはクロノの体温の低下を強く感じた。
「クロノ」
 細く言葉を出すが、クロノは軽く笑うだけであった。
 見ると顔は真っ青、血流が悪くなっている。
 シェアさんを見ると体に霜が張り付かない様にゆっくり動く。
 クロノたちが動きを止めているのを見逃すはずはなく、ヘケランは突進を開始した。
 シェアはグリッドを握り、エレメントを使用する。

  ●ハイマッスル(赤)

 シェアの体が赤く光る。
 シェアはヘケランの動きに素早く反応して、避け、交わるところで斬りつけるが、幻。
 実体なき偶像を斬りつけたところで、ヘケランが反対方向からツメを使いはたきつける。
「くっ!!」
 辛うじてかわすが、いま地面は軽く霜がひかれ、滑りやすい。
 シェアは威力は無いが、その地面の中を技能でカバーし再びヘケランに斬りつけるが、それも幻。
 さっきのエレメントで一気に幻の数が増えたように見える。
 それを受け、クロノ、シェア、マールは防戦に近い形をとる。
 クロノは魔法の構成、発動させる。

  ”サンダガ”

 雷の中、ヘケランの一体が青のエレメントを発動。
 落雷寸前に水の壁が出来上がる。
 水は電気を表面上で流し、内部まで透過させない。
 わずかに表面に付着した埃の部分でしか、電気が流れることはなく、ヘケランは無傷。
 クロノは次の攻撃の準備をしようとした瞬間、ヘケランの突進をまともに受ける。

  ”ファイガ”

 洞窟の中心で淡い炎が、その熱気を全体に広げる。
 内壁についていた霜は一瞬で蒸発。
 ヘケランの幻も消滅。
 驚くヘケランにある塊が体当たりを掛ける。

   ガシャアアアアアン

 まともにぶつかったヘケラン。
 その間にシェアが剣を突きつけた。
 それまでヘケランはシェアの動きを見ている。
 筋肉をわずかに動かしただけで、シェアが一瞬でヘケランに止めをさせる最近距離。
 ヘケランは負けを認めざる得なかった。
 最後に現われたイレギュラーな存在。
 ルッカとロボの出現で、この勝負は決した。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; en-US) AppleWebKit/534.3 (KHTML, like...@softbank126115052220.bbtec.net>

【204】-32- (第九章 魔の村の人々10ルッカの家)
 Double Flags  - 10/9/20(月) 21:07 -
  
 現代のコルゴー大陸、北の洞窟
 ゼナン大陸へもどる近道として海の道を通るためヘケランのいる北の洞窟に入ったクロノ、マール、シェア、そして途中から来たルッカ、ロボは、海の道を通るための道の前に塞がったヘケランと対峙しているところであった。
 途中から来たルッカ、ロボによりヘケランを追い詰めることになった。
 刃を向けているのはボッシュから(貸して)もらった細長い剣を突きつけた。
 しかし、その手は止まっている。
「止めを刺さないノカ」
 あと数ミリ動いただけでヘケランに刺さるような態勢であった。
「止めを刺して欲しいのか」
 冷徹にヘケランを見下げた。
「……」
 一同も思わず押し黙る。
「私たちはこの渦を通ればいいだけだからな」
 ヘケランに向けられていた圧迫感が同時に消えた。
 ヘケランは起き上がり、シェアを見下げた。
「カワッタニンゲンだ。
 400年前、魔王サマガラヴォス神を封印シタカイガアッタモノダ。
 ニンゲンもズイブン変わったモノダナ」
 その言葉にルッカが食いついた。
「『ラヴォス』を封印した? 召喚したんじゃなくて?」
「『召喚』ダト。バカをいうな。
 魔王さまハ命ヲかけてラヴォス神ヲ封印シタノダ。
 もうサッサと行けニンゲンドモ」
 ヘケランはそれだけ話すと、目を瞑りいびきを始めた。
「これ以上聞いても無駄のようね」
 四人と一体は逃げるように渦の中に入っていた。


 現代ゼナン大陸、ルッカの家
 シェアは湿った紙をタオルでぎゅっと絞り上げた。雑多なところが男っぽいのだが、協調性のあるバストとヒップは女性らしさをよく現している。黒シャツに黒ズボンと、髪の黒さもあいまって全身黒ずくめであるが、それが逆にきちっとしたシックな大人の女性であること見せている。
 失礼ではあるがまあ、正直こんなときでしかシェアを女性として認識しないであろう。
 海の道を通ったことで、塩まみれになった体をシャワーで流したのだ。
 さきに風呂に入っていたルッカは白いシャツとハーフパンツといったラフな格好をしながら、半田を片手に作業をしていた。その傍ではマールがなにやら難しそうな本の合間にあった簡単そうな本を見ていた。
「それでどうするんだ」
「当分はクロノ、マール、ロボは一緒にいてもらうわ」
「ルッカはどうするの?」
「私はまずこの『ゲートホルダー』の2号機を完成させてから、ガルディア城の森とでゲートを開いてから合流するつもりよ」
「よく分からんが、ルッカたちも色々大変なんだな」
 シェアはすっと近くにあるソファーに座った。
「シェアさんはどうするんですか?」
「私はここにもどってくるのが久しぶりだからな。まずは情報収集だよ」
「ということは、しばらくは北ゼナンにいるってことですか」
 粉末状の素をコップに2、3杯入れスプーンでかき混ぜた。

   カラン からん

 と音を立てながら、かき混ぜる。
「いや、南ゼナンの知り合いに会うのが先になる」
「パレポリに行くって事ですか」
「ん〜〜、まあね。半分以上は仕事のためだが……」
 その目は黒鞘に収められている剣に向けられている。
 手はカップを持ち、三分の一ほど飲み干す。
(甘いな)
 カチッと置き皿の上にカップを収め、ルッカを見る。
 手つきがらしく見え、ここに来ることが本当に久しぶりであることを感じていた。

(苦い)
 本を片手にマールがコーヒーに口をつけ、ゆっくりをカップを置いたところで玄関が開く。

   がちゃん

 扉から赤いツンツン頭の少年――クロノが入ってきた。
 マールはその姿を確認すると、本にしおりを挟み立ち上がった。
「ただいま、って言うのも変かな」
「ふふふ、確かにここはルッカの家だもんね」
 クロノは一人自分の家に戻っていた。
 裁判にて死刑宣告をされ、刑務所にいる中で一度も訪問を許されることが無かった母のジナを安心、無事であることを示すために帰ったのだ。ルッカが空中刑務所に侵入する前に、ジナに一言声をかけていたので『前の周』よりも大きな動揺が見られなかったが、喜んでいた。
 こうしてクロノも合流し、再び今後の予定をゆっくりと話し合った。

「すっかり洗い流してもらったんだな」
 調整作業も終了したロボが再び起動する。
 手足の駆動部分を重点的に動かし、動作の確認を行う。
「ハイ」
「ちょうどよい機会だから、軽量化とかオプションとか付けたからね。はじめは、動作の修正とかで時間がかかるかもしれないけど、ロボのためにもなるとおもうわ」
「全部機械で出来ているのか?」
「ええ、すべて私の手ではないけど」
 シェアはじっくりとロボの様子を拝見した。
「いやな、まだ他の大陸では完成なされていない全て機械でつくられたものを見るのは初めてだからな。さすがルッカといったところかな」
 照れくさく黙るルッカ。
「じゃあ、私は先に出るよ」
 シェアは黒鞘の剣を大事に持ち、ルッカの家を出て行った。
「さて、私たちも行くわよ」
 各々が手持ちの装備を確かめたところでクロノが言った。
「ルッカはここに残るんだろ」
「いいのよ。私も間に合ったら駆けつけるつもりだから」
「そうか、じゃあ行くからな」
「頑張って!」
 クロノたちは千年祭の行われている広場に向かった。
「こうやって歩いて『ゲート』に向かって歩くの考えたら、シルバードの存在の大きさを感じるね」
「タシカニ、移動して体力、エネルギーが消耗することを考えるト、移動キョリをタンシュクできるシルバードは大きいデスネ」
「でも、『前の週』多く歩いたから後々に体力面での心配が少なくッただろ」
「確かにね。はじめはあたしがいたからずっと休んでいたようなものだもんね」
「それはしょうがないだろ?」
「ソウデス。運動量がタリナイのは、アトデ付けていけばイイだけの話デス」
 ガシャン、ガシャンと強弱をつけて動くロボにマールが笑う。
「さて……」
 クロノたちはリーネの鐘をくぐり、ポットの前に立った。
 中央には小さい『ゲート』が見られる。
 そして、右側のポットが強く光っていた。
「コレハ……フタツの異常な重力場を観測していマス」
 右側のポッド、すなわちラヴォスに直接繋がっている『ゲート』が強くなっていたのだ。
「また、新たな分岐か」
「? ドウイウコトナノデスカ」
 マールは『ゲート』の影響が少ないところで、ロボに話した。
「前にここで少年、あの不思議な少年に出会ってね。
 新しい未来が出来るとき、新しい未来への分岐のときに、ラヴォスゲートが光るっていう話なの」
「つまり、この時間帯が未来の分岐点と言うこと。
 ここから先に進めば、その未来を選択すると言うことらしい。
 正直、ルッカから説明を受けたけどサッパリ分からなかった」
 マールも肯く。
「さて、どうする? このままラヴォスを倒しに行く?」
「はい」↓
<<<まだなし>>>

「いいえ」
「そうか、後悔しないな」
「するから、やっぱり行く」↓
<<<まだなし>>>

「ええ」
「じゃあ先に進むか」
 クロノたちはゲートホルダーで『ゲート』を安定化しそのなかへ入っていった。


 ルッカは一人、作業台にてゲートホルダーの2号機を製作していた。
 材料は……何とかなった。
 後は組み立てるだけ、といってもこの作業が一番神経を使うのだ。
 ふう、と一息。
 ルッカが立ち上がったところに、一冊の紙束が落ちた。
 なんとなく拾ったルッカは、その紙束に見覚えが無いことに気づく。
 タバンのだろうか、しかしそのなかで気になることがある。
 それは表紙が白紙だということ。
 ルッカは見やすいようにと最低限表紙をしっかりと書いて置く。
 しかし、これにはそれが無い。
 興味の中、紙束を一枚めくると驚愕の事が書かれていた。
 思わず、最後のページを開く。
 ルッカの予想通りだと、ここにあることが書かれているはずである。
「!!」
 その事実はやがて、ルッカを含めてたクロノたちに大きな運命の流転を引き起こす。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; en-US) AppleWebKit/534.3 (KHTML, like...@softbank126115052220.bbtec.net>

  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃一覧表示 ┃トピック表示 ┃検索 ┃設定 ┃PCホーム ┃使い方 ┃携帯ホーム  
2 / 38 ツリー ←次へ | 前へ→
ページ:  ┃  記事番号:   
38411
(SS)C-BOARD v3.8 is Free