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【151】放課後レター 柚子 08/8/22(金) 16:45

【164】放課後レター 柚子 08/9/18(木) 0:55
【170】放課後レター 柚子 08/10/28(火) 6:17
【171】放課後レター 柚子 08/10/31(金) 0:56

【164】放課後レター
 柚子  - 08/9/18(木) 0:55 -
  
*5leeter*


「きゃっ!」

あたしは少しだけ大きな声を出してしまった。


だって…


下駄箱を開けると―――・・・・


「か…カエル?!」


なんと蛙が飛びだしてきたのだ!!!


「…と思ったら、カエルのおもちゃかぁ・・・」


びっくりした。
こんなことをするのは、絶対に、ぜ〜ったいに
ヤツしかいないッ!!!!

あぁ…だから流晴、下駄箱に注意しろ!なんて言ったんだぁ…
そういえば、帰るとき、やけにあっさりしてたし。


「妃?どうかした?」

きみちゃんが声をかける。

「う、ううん。なんでもないっ!!」

あたしはとっさに、そのカエルのおもちゃを後ろに隠し、
少しあとずさりをした。


カサッ


足になにかの感触がした。
どうやら、紙らしいものを踏んづけてしまったようだ。


「そう?ならいいんだけど…」

きみちゃんは少し不思議そうな顔をしている。
だが、すぐに他の子とおしゃべりを始めた。


あたしは、しゃがみこんで、踏んづけてしまったものを確認する。


白い封筒だった。
後ろをめくってみるが、名前は書かれていない。
多分、あたしの下駄箱から落ちたんだろう。
それまで、その床には何も落ちていなかったんだから。

間違っていたら悪いと思いつつも、
封筒の中身を見てみる。


そこには――――


 『星埜 妃様

   放課後、お話がありますので裏庭まで来て下さい。
   待っています。』


とだけ書かれていた。


差出人の名前は書かれていなかったが、
あたしの頭の中には1人の人物の顔が浮かんだ。

絶対、あいつだ…!!!
あいつしか、いないもんッ!!


「妃、もう行こう?」

きみちゃんが、あたしに向かって言う。

「……ごめん、きみちゃん。急に用事ができちゃった・・」

「えぇ〜?!」

きみちゃんが驚いた声を出した。

「ごめんね。楽しんできてね」


きみちゃんたちと別れて、さっそく呼ばれている裏庭へと向かう。


もぉ〜!!せっっかく、久しぶりに遊べると思ったのにぃ〜〜
こーなったら、ただじゃおかないッ!!!
一言、文句を言ってやらないと気が済まないッ!!!!


裏庭へと到着した。
辺りを見回すが、誰もいない。
差出人は、まだみたいだ。


あたしの後ろの方で、足音がした。
誰かが歩いてくる。


「もぉ〜!!!こんなところに呼び出して一体なんの用よ!
 せっかく今日は、きみちゃんたちと遊べると思ったのにぃっ
 また、あたしをからかう気?
 だいたい、今日のカエルのおもちゃ…あれ何なのよ!!
 もぅ、すっごくびっくりしたんだから!!!
 ちょっと、なんとか言ったらどうなの?!流晴っ!!!」


一気にまくしたて、あたしは後ろを振り返った。


え?


あたしは目を疑った。
だって、あたしの後ろにいたのは――――
引用なし
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【170】放課後レター
 柚子  - 08/10/28(火) 6:17 -
  
*6leeter*


あたしの後ろにいたのは―――・・・


あいつじゃなかった・・・


流晴じゃなかった・・・


「――須藤くん?」


あたしの後ろにいたのは、須藤 蓮【すとう れん】くんだった。

須藤くんは、陸上部のエースで、なんだかスゴい記録を
もっていると聞いたことがある。
あたしはよく、分かんないんだけど・・

隣のクラスで、体育のときくらい一緒なだけで、
あまり喋ったことはないのだけれど、彼は有名だから大抵の人は
彼のことを知っている。

なにせ、陸上部のエースだし、かっこいいし、
女の子にすごくモテるからだ。
放課後のグランドは、女の子の見学でいつも賑わっている。


はッ!!


あたし・・さっき何言った?!
そんな大きい声出して・・・恥ずかし〜〜っ
もう、須藤くんの顔見れないよ・・


あたしはぐるんと須藤くんに背を向けた。


てか、須藤くんもここに呼び出されたのかなぁ?
えぇーー、同じ場所って・・・
流晴、早く来ないかなぁ。


もしかして―――・・・・
また前みたいに、からかわれてたり―――


あたしも前、こういう風に下駄箱に手紙が入っていたことがあって、
そういうこと、初めてだったから。
ちょっと・・いや、すっごく嬉しかった。
だって、大概の人はこういう手紙、ラブレターだと思うじゃない?
まぁ、今時ラブレター?!って感じもするけど・・・

だからあたし、ちょっとドキドキして、その場所に行ったの。
そのときも、差出人が書いてなくって、
その場所に行っても、まだ誰も来てなくって、
ちょっとの時間、こうやって待ってた気がする―――


そしてやってきた人物は―――・・・


「・・・さん?」

「星埜さん・・?」


後ろから、名前を呼ばれて、ふっと我に返った。

「は・・・はいッ?!」

急に呼ばれて、大きな声を出してしまう。
須藤くんがあたしの名前を呼んだ。


「あの、星埜 妃さんだよね?」

「・・はい」

同い年のくせに、緊張してる。
だってこんなに近くで、須藤くんのこと見るの
初めてだったんだもん。
それに、話すのだって初めてだし・・


「あの、急にこんなところに呼び出してごめん。」

須藤くんは、下を向きながら言った。


えっ??!! 今、なんて?!
この手紙・・・須藤くんが書いたの?!
うそッ!!! なんで?!
流晴じゃないの・・??

あたしの頭は?マークばかりで、混乱していた。


「あの、えっと・・・」

須藤くんは言いずらそうに、頭をかきながら下ばかり向いていたが
急に、あたしの目をしっかり見て。


「あの! 好きですっ!!! 俺と付き合ってください」


えぇぇぇ〜〜〜ッ??!!
い・・・今・・・なんて・・・・?!

あたしの頭はさらに混乱してしまった。

なんで?!
なんで、須藤くんが?!
なんで、あたしなんかを――・・??!!


「あ・・あの・・・あたし・・・」


あたしが返事をしようとしたら、口の前に人差し指が立っていた。


「すぐに返事をもらおうと思ったわけじゃないんだ。
 びっくりしたよね? ごめん。」

そう言った須藤くんの顔は、すごく優しい顔だった。

「あまり知らないからっていう理由で、断らないでよね!」

須藤くんは、ふざけたような口調で言った。

「じゃぁ、まずは友達からで!」


あたしの頭の中は真っ白なのに、どんどん話が進んでいく。

「・・名前」

「え?」

「‘須藤’じゃなくて‘蓮’でいいから」

そういう須藤くんは、恥ずかしがっているのか
横を向いて、頭をかいている。

「・・・じゃ、じゃぁ、蓮・・・くん」

あたしがそういうと、蓮くんは顔を真っ赤にした。

わぁ!!! 須藤く・・いや、蓮くんってこんな顔、するんだ!!
初めて見る顔に、少し嬉しくなって
まじまじと蓮くんの顔を見てしまう。

すると、もっと顔を赤くして、

「そ、そんなに見ないでよ・・・」

と言った蓮くんが可愛くて、少し笑ってしまった。

「あ、あぁ!!笑ったなっ!!!」

「あはは、ごめん」

「ふん。・・・こんなところに呼び出して、悪かったな」

蓮くんがふてくされたように言った。
そしてふいに、

「じゃぁ、気を付けて帰ってねッ! ―――・・妃ちゃん・・」


と言って、走っていってしまった。
後ろ姿の蓮くんの耳は、真っ赤で、また少し笑ってしまった。
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【171】放課後レター
 柚子  - 08/10/31(金) 0:56 -
  
*7leeter*


ぼーっとしながら家に帰った。


まだ、信じられない・・
あの、あの須藤 蓮がなんであたしなんかを―――??!

でも嘘なんかついてるようには
見えなかったし・・・
からかってもなかった。


「―――手紙」


あたしは思い出したかのように、今日もらった手紙を見た。


『放課後、お話がありますので裏庭まで来て下さい。』


そして、引き出しからもう一枚の白い封筒を取り出した。


『放課後、話したいことがあるので、教室に残っていて下さい。』


そして『お願いします。』と書かれていた。


そうこれは、前にもらった手紙。
なんだか捨てられなくて、とっといてあるんだよね。


――――あのときも、なかなか現れなくて教室でずっと待っていた。


ガラッ。

教室のドアが開いた。

最初は、緊張して立って待っていたあたしだったが、
なかなか相手が来ないので、いすに座っていた。

が、ドアが開いた途端、反射的に立ってしまった。

相手は―――・・・


「なんだ、星埜?まだいたのか?」


――――先生だった。


「・・・はい。」


あたしは肩を落として答えた。


「もう下校の時間だからな。早く帰れよ!」

「はぁ〜い」


早く帰れって言われたってなぁーー・・
んーー、早く来ないかなぁ・・
もう帰っちゃおうかな・・・


そう思っていたとき、再びドアが開いた。


誰?そう思って見ると――――


そこには―――・・・流晴がいた。


え・・・?! 流晴ッ??


「き、妃・・まだ残ってたのか?」

流晴はドアの所で動かないまま言った。

「・・・うん。ちょっと人待ってて・・」


――なんだ・・手紙の主、流晴じゃないんだ・・・


「流晴は?こんな時間にどうしたの?」


流晴って、確か部活には入ってなかったよね。
変なの、こんな時間に・・


「あ、いや、ちょっと――」

曖昧気味に答えて、あたしの方に近づいてきた。


「妃。」

「ん?」


教室にはふたりしかいない。
流晴が話さなければ、周りはものすごく静かだ。
この静けさが、なぜだかすごく緊張させる。


「・・・あの、手紙・・・・」

流晴は言いにくそうに、やっと一言話した。


手紙―――??!
あれ、流晴が書いたのッ??!!
なんで〜〜??

あたしの頭はパニック状態だった。


「妃、俺―――・・・」


流晴のちょっと低い声が響く。
あたしを見つめる流晴の瞳がまっすぐで、すごくドキドキした。


えっっ??!! 嘘でしょ?!
えぇぇぇ〜〜!!!!


「――――・・・本気にしたッ?」


は?


「もーー、妃ってば、本気にしちゃってかわいーー!!!」


????


「今時、ラブレターなんて・・あるわけないじゃんッ!!
 ごめんね?期待させて・・・
 もしかして、初めてだったぁ?!」


こンの男〜〜〜〜ッッ!!!!
あたしが一体、どんだけ待ったと思ってんのよッ!!!!
なのに・・
サイテーーっ!!!
ただ、あたしをからかってただけなんだ・・・


「――――せいの、流晴のばかぁぁーーーー!!!!!」


それであたし、一発殴って帰ったんだった・・・


はぁ〜。さすがにこれは酷いと思ったぁ・・
乙女のハートはボロボロですよ・・・
まったく、これで人間不信になったらどうしてくれるんだよ!
バカ流晴!!!


だから、今度の手紙もヤツだって思ったのに・・・
蓮くんから・・・なんだよね。


まだ、このことに信じられないまま、
あたしは深い眠りに落ちていくのだった。
頭の中では、なぜだか知らないが
蓮くんと・・・流晴の顔が消えずに残っていた――
引用なし
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