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【62】O-本編の試作も掲載
 REDCOW  - 08/3/20(木) 15:22 -

引用なし
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    まぁ、参考程度にOの本編も制作中のものを出しておきます。
 
 プロローグ
 
 時はユニバーサルセンチュリー0120年。
 既に戦争は遠い過去になろうとしていたその時代に、突如として咆哮が鳴り響いた。
 
 ディープスペースアライアンス(以下略DSA)…新宇宙同盟と名乗る一団は、木星圏エウロパを拠点として地球連邦軍に反旗を翻し、エウロパ戦争が勃発した。
 その戦いにおいて、地球連邦軍は当初の予想とは全く正反対な勝負を演じる。
 
 それは連邦の一方的な敗退。
 
 DSAは彼らの知る戦術の次元を越えた兵器を武器に、半ば過去の時代の産物となりつつあった「ニュータイプ」という存在の恐怖を植え付けることに成功する。
 
 宙域には実に100万を越えるファンネルが浮かび、一瞬にして全軍の4分の3を失った地球連邦軍は、旗艦パトリオット以下フラッグシップ艦を4隻も失い、あわや全滅と思われた。しかし、地球連邦にも、まだ彼らが失いつつあったニュータイプがいた。
 遠い時代、第一次ネオジオン紛争を勝利に導いたと言われる伝説的ニュータイプ能力者であり、連邦軍の試験艦フェアレディ号に搭乗していたパイロットであるジュドー・アーシタは、全軍が敗退する中、試験技術ジャンクションを利用し、戦術核兵器を遠隔操作使用してDSAの猛攻に対抗。
 地球連邦軍を辛うじて撤退に導く事に成功した。
 
 その後、地球連邦とDSAは休戦協定を結び、5年間の不可侵協定が規定され、一定の平和が訪れる。しかし、それは嵐の前の静けさと言え、地球連邦はDSAに対抗すべく本格的にニュータイプの研究に全力を投じた。
 …残された時間は、僅か5年。
 
 
 UC0125年7月…
 
 
 地球連邦軍はDSAに対抗すべく作戦計画「ツナミ」を発動。
 提督ヨハン・イスマ・グラハムはこの作戦計画にあたって、ケント・ナンジョー中将指揮下の東京計画部隊を組織。最先端のニュータイプ技術を装備した最新鋭艦「シスターフェアレディ」号の運用を開始した。
 
 
 月、フォンブラウン地球連邦軍基地。
 
 
「閣下、これが噂の新造艦ですか。」
「そうよ。」
 
 
 通路を歩く二人の上級士官の姿があった。
 一人は身長は170cm、中肉中背の黒髪にブラウンの目をした男で、年齢は52歳になる彼の名はドーン・ミハイル・マスカルポーネと言い、苦節30年にしてようやく上り詰めた新造艦の艦長にして中佐。
 そして、その隣を歩く女性は、容姿は30代に見えるが、実年齢は隣の彼よりも上で階級も上という、ルナツー方面軍総監にして地球連邦軍准将。名をルー・ルカという。
 彼らはこれから新しく建造された艦に乗り、初の任務に挑もうとしていた。
 
 
「…全長220m。インパルス9を誇るわが軍初のGUTドライブ艦ですな。美しい。」
「アマテラス級の設計は素晴らしい。ハー博士には宜しく伝えておいて下さい。」
「はい。必ず。…しかし、これですぐにルナツーへ?」
「時間が無いのよ。μは勿論、あれをばらされるわけにはいかないの。」
「…例の新型戦略兵器という奴ですか。」
「…軽々しく口に出さないで。」
「あ、失礼しました。あのぉ、准将閣下はご搭乗で。」
「当たり前よ。もう少し頭を使いなさい。あなた、よくそれでここまでこれたわね。」
「愚問を申し訳有りません。」
 
 
 二人は搭乗橋から船内に入った。
 入り口では下士官が敬礼して二人を迎える。
 彼らはそれに軽く手を振り応えると、通路を進みリフトに乗った。
 そこに若い士官の顔があった。
 
 
「艦長、それに准将閣下。お久しぶりです。」
「あら、お久しぶり。元気かしら。」
「はい、それはもう。」
 
 
 笑顔で気楽に話す彼は、アナハイムエレクトロニクス(以下略AE)社のエリートパイロットとして軍でも一目置かれた存在であり、アカデミーをトップで卒業したとも伝え聞く天才。その名はタロウ・ドウモト少佐。
 彼はこの艦の戦闘システムオペレータとして配属が決まっていた。
 
 
「艦長、既にブリッジにはカリスト少佐がドライブシステムのチェックを始めているそうです。ミシャールマ中尉がシナプスごしに艦長への接続許可を求めておりますが、艦長、その…シナプス起動してますか?」
「ん?あ、おぉ!すまん、忘れていた。今起動する。」
 
 
 ドーンは耳の裏にあるインプラントに触れて、シナプスと呼ばれる装置を起動した。
 シナプスとはニュータイプ通信を実現するシステムである。
 
 
 その昔、ニュータイプと呼ばれた人々がいた。
 
 
 彼らはミノフスキー粒子による電子ネットワークが不可能になった近年、超能力的な力で人と通じ合ったり、機械と同期することで多大な戦果を上げてきた。彼らの存在が言わば勝敗を決する程の影響力を持ち、連邦は勿論、敵対する勢力も多くの研究資源を投じてきた。しかし、その技術研究はとても乱暴な歴史を繰り返し、薬物による強引な「強化」と称する人体実験を繰り返した結果、人道的にも恥ずべき歴史を残す結果となった。
 だが、技術が進歩し研究が進んだ現在では、より現実的な手法が編み出されるに至る。
 
 
 それは、インプラント。
 
 
 サイバネティックインプラントを頭に埋め込むことで、ニュータイプ能力者と同様の脳電子波コントロールを実現し、ニュータイプ同士のみが行えると言われていた通信ネットワークを確立する事に成功した画期的な技術。
 ニュータイプという存在を語る時、今までの普通の人々をノーマルタイプと呼ぶが、インプラントはノーマルタイプを手軽にニュータイプの仲間入りをさせることが出来る道具と言える。
 そして、この装置によってニュータイプ能力を得たものをインプランターと呼ぶが、このシステム自体はまだ軍など一部の機関でのみしか採用されていない。
 
 インプラントを埋め込むと、「シナプス」と呼ばれるニュータイプ通信システムが頭の中の視神経を通して映像化され、様々な情報を柔軟に処理できるようになる。
 シナプスは様々な人と人は勿論、人と機械をも橋渡しする中継器の役割を果たし、過去の大戦とは全く違う情報処理を実現すると言われている。しかし、連邦ではこの戦争での投入が初のため、実装自体は速い段階から進めていたが、まだ活用は試験段階といえた。
 
「(艦長、マリです。船体システムについては整備状況が現在80%で推移しています。エネルギー充填が遅れているので、至急司令部に要請して頂きたいのですが…)」
「(うむ、伝えておく。ときに、…そこにアーシタ少佐はいるのかね?)」
「(はい。現在アーカンソー軍曹のオペレーションシステムについて、設定制御の説明をされています。お呼びしましょうか?)」
「(い、いや。呼ばなくても良い。私も向かっている所だ。ありがとう。)」
「(はい。では、失礼します。艦長。)」
 
 
 ミシャールマ中尉がシナプス通信から消えた。
 ドーンは一息入れると、隣の准将閣下を見た。
 彼の上司である准将閣下は木星帰りの生粋のエリートであり、彼の嫌う先程のマリとの話にもでてきた「アーシタ少佐」とも縁のある手強い女性といえた。
 彼としては気の重い航海だが、この作戦で新造艦の艦長に抜擢されたのは栄転中の栄転であり、この任務に堪えてマスカルポーネ家初の提督となりたい野望への道を考えると、逃げるわけにもいかないという個人的な事情もあった。
 
 ブリッジに入ると、そこにはほぼ全員が揃っているようだった。
 ルカ准将、それに艦長の入室にクルー達が一斉に入り口の方を向き起立し敬礼した。
 ルカはそれを下げさせると言った。
 
 
「さぁ、皆さんお揃いですね。これから本艦はルナツーへ向かう事が決定しました。皆さんもご存知の通り、最近は海賊の動きも活発化しています。ここでわが軍がこれらの小物に足をすくわれているわけにはいきません。皆さんの活躍を期待します。あとのことは、艦長にお任せしますが、私もルナツーまで一緒に同行いたします。短い間だけど、宜しく。」
 
 
 ルカ准将の挨拶の後、総員が持ち場につき作業を始めた。
 タロウは席につくとすぐにシステムを起動し、武器システムのチェックを始める。
 
 そこに40代くらいだろうか、深いブラウンのサングラスをした精悍な顔つきの男が近づいてきた。彼の服は佐官クラスであることを示している。
 
 
「ジュドー・アーシタだ。宜しく。」
「あ、タロウ・ドウモトです。お噂はかねがね。伝説的なあなたとの航海が出来ることを楽しみにしていました。」
「はは、昔の話だよ。アナハイムでも一目を置く君の活躍を期待している。」
「有り難うございます。ですが、私の経験不足はあなたのお知恵を拝借させて下さい。」
 
 
 ジュドーはそれに笑顔で軽く手を上げて応えると、入ってきた二人の方へ歩いて行った。
 
 
 2
 
 
「くそぉ、お前がなんでガンダムなんだよぉ!」
「うへへ、おれにしか合わないって言うんだもん。仕方ないだろ?」
「ちぇ、F92良いなぁ。」
 
 
 少年達の視線の向うには、多くのモビルスーツの姿があった。
 パイロットルームで待機する事が命令され、ドックの機体を見ながら待機しているのは、先程羨ましがった少年とそれを自慢する少年、その他にもう一人の少年と少女の姿があった。
 羨ましがっていた少年はシドー・トクガワ少尉といい、アカデミー在学中だがエリート士官コースを進む生粋のニュータイプ。そして、もう一人の自慢していた少年もニュータイプで、名をグレイ・スタインバーグと言い、彼もまた階級は少尉だ。
 二人がじゃれていると、そこに冷静にもう一人の少年が忠告する。
 
 
「グレイ、シドー。君らは機体システムのチェックを済ませたのか?もうすぐ大尉が来る。その時に済ませてなかったら…知らないぞ?」
「あ、やっべー!?」
 
 
 二人は慌てると、すぐにドックの方に走って行った。
 二人に忠告を与えた長いプラチナブロンドの髪の少年はマーカス・サンディベルトと言い、階級は中尉で二人より一つ上の階級にあり、彼らの中ではリーダーの様なポジションを任されている。だが、普段の彼らとの関係もどちらかというと兄と弟の様な関係だ。
 彼もまたニュータイプで、アカデミーをトップの成績で在学中の生徒だ。
 彼に言われて慌てて二人が走り去ったのを見て、マイペースに椅子に座って読書をしていた少女がマーカスに言った。
 
 
「あなたも意地悪ね。自分で分かっているなら、さっさと教えてあげればいいじゃない。」
「ワルツワンドこそ、知っていたんだろ?」
「知っていたら教えてるわ。ベーだ。」
 
 
 彼女は悪戯っぽく舌をだして返答すると、メガネを外してライトブラウンの髪を掻上げた。彼女はワルツワンド・ヘンリークと言い、彼女もまた他の3人と同様にニュータイプの才能を持っている士官候補生だ。

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【62】O-本編の試作も掲載 REDCOW 08/3/20(木) 15:22
【63】O-本編の試作も掲載2 REDCOW 08/3/20(木) 15:43

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