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「確かに私たちはそのエネルギーの嵐が起きた原因について調べてその原因をつぶしていけばのね?」
赤髪のとがった頭の少年――クロノと金髪でポニーテイルの少女――マールがプロメテドームに入るとすでに不思議なメットをしてメガネをかけた少女――ルッカによって後ろにタンクを積んだ人型のロボット――ロボは全快していた。
プロメテドームの奥には、ロボの腕力によりすでにゲートの扉が(ムリヤリ)開けられていた。
クロノとマールによって監視者ドームでのことを話し終わった。
「デモ、おどろきでした。ソンナ事実があったソンザイしていたトハ」
「ロボは知らされていないのね」
「ハイ」
「なぜかしら?」
「必要ない、ということか?」
「う〜ん、でも、やっぱり納得いかないわね」
「どうゆうこと? ルッカ」
「う〜ん、上手く説明できないけど、なんか引っかかるのよね」
「ルッカ、とりあえず時の最果てに行こう。
今のところ目標も決まったことだし、ここで考えていても進まないよ」
クロノはそう言って、ドームの奥の扉の近くに歩いてく。そこにはすでに破壊された扉があった。どうも、クロノとマールが監視者ドームに行っている間に(ムリヤリ)破壊したようだ。
たしか、プロメテドームの入り口の近くに残骸が積まれており、すでに掃除も終わっていた。初め、クロノとマールが来て、扉が(見るから)にムリヤリ開けられた様子を見て、少し非難するような目をルッカに向けると、一言「面倒だったから、壊しちゃった」といっていた事が思い出される。
三人と一体は扉の中に入り、ルッカはゲートホルダーを掲げ、スイッチを押した。
ウウウィウィウィウィウィウィウィイイイイイン
「いくわよ、時の最果てに」
ルッカの声に呼応するかのように、時空の穴が開く。
三人と一体はその流れに身を任せ、吸い込まれていく。
グオォォォォォォン
クォォヲオオン
キュルウウウウ
目が覚めると、三人と一体は、小さな部屋。柵のようなもので正方形に囲まれた場所、その部屋には三人と一体以外には、ヒト一人立てるぐらいの円の中が円柱状に上に伸びる黄色がかった白い光の柱が三本立っていた、いや立っていたというよりも存在していた。
クロノが監視者ドームで見たことのある、空間に浮かぶ映像のように、まるでそこに映し出されているかのようにあった。クロノたちはこの存在を知っている。『光の柱』。次元の歪みが存在する場所、時代に繋がっているゲートの入り口である。
ここは、時の最果て。
全ての時代と近く、そして遠い場所。
そこで三人は、石にしては感触の柔らかい、木材にしては違和感のある床に転がっていた。
この三人が転がっているのには理由がある。ゲートは時代の違う四人分を運ぶという、不安定な中状態。次元の力場が捻じ曲がり、すべての時間に通じる、時の最果てに行き着く、そう、この不安定な状態こそが時の最果てに行くカギでなのだ。そしてこのゲート、いつもより不安定な分、ものすごく「酔う」。
『前の周』でもそうだったが、ロボ以外三人とも「うぅぅあぁ」「はぁぁぁぁぁぁ」などとうめき声を上げている。ロボが声をかけるが、あまりかんばしくない様子である。まあ、だいたいだそっとしておいてくれというものであった。体が揺れるのも、体にさわる機敏な状況であった。
しばらくして三人は回復に至る。
三人とも乗り物酔いはほとんどしない。酔う酔うといわれている船に乗っていても彼らは平然としているのである。その三人がこれほどきつく感じる、いわゆる『ゲート酔い(マール命名)』。『前の周』彼らがここに来たとき、ラヴォスゲートはそれようのバケツだと思ったぐらいだ。
バケツの上に、『ゴミ箱ではありません』と書かれた紙がなかったら勘違いしていたところだ。また、その紙を無視してやってしまったという話も聞く。
「今日はなんとか」
少しひたいに汗がにじみ出ているのを袖で拭いてクロノは立ち上がる。
「無理してないでさっさと行くわよ」
一番初めに回復したルッカはそんな様子のクロノを置いて奥の部屋に歩いていった。
そのあとをマール、ロボもあえて無視して続く。
三人と一体は奥の扉を開け、『光の柱』の部屋より少し大き目の正方形の形をした部屋に着く。
その真ん中には灯のついた柱とともに、灯の光に当てられ、わずかに影のある老人が立っていた。しかも立ったまま「カーカー」と寝ていた。
先頭に居たルッカがほんの2メイトルまで近づくと、老人はパチンと、器用にも立ったまま寝ていた体を少し動かし、目を擦り三人を一体を確認した。
「おや、お客さんか……。
最近ここに訪れるものもすっかり減ったというのに懐かしい……」
「ハッシュさん! 私たちのこと覚えているんですか?」
「はて……? ずいぶん懐かしい響きじゃな。
たしかにどこかで会ったことがあるような、懐かしい気もするが」
ルッカの顔にどっと疲れが見えた。そこへクロノが、
「しょうがないさ、他の賢者も覚えていなかったんだから」
「それもそうよね」
そんなルッカをみて、マールが前に出た。
「わかったわ、おじいちゃん」
「なんじゃ、お嬢ちゃん」
「私たちはラヴォスを倒したものよ」
マールの発言に老人はその白い眉毛にかかった目を大きく開いた。
「なんと、お前さん達があのラヴォスを……、ということはあのときの……。
いやまてまて、彼らは別のさぃ……」
「覚えているの!!」
大きな声をだすマールに少し身じろぎながら肯く老人。
「まあ、覚えておるよ。
しかし、あの少年達とは……。
確かに見た目も全く同じじゃな、いや最近似て非なる存在を見るから、すっかりお前さんたちも、新しく……」
「似て非なるもの……?」
「いやいやこっちの話じゃ、それよりなんでおぬし達がここにいる? 世界を救ったのではないのか? すでにゲートが閉じられているというのに」
「それが私たちにもさっぱり」
「? 一体どういうことじゃ」
ルッカは、今自分たちに起こってることを老人に話した。
「なるほど、だいたいわかった。
いまお前さん達は、ラヴォスを倒したことで救ったはずの未来が、なにかしらの災厄によって再びこの星が危機に見舞われていることから、それを救いたいと……」
「まあ、だいたいそんなところね」
「そうか」
老人ハッシュはうなる。
「お前さんたちは覚悟ができているのか」
「もちろん」
言ったクロノの目を見る。
「確かに覚悟はあるようじゃな。
ただ一つ……」
「?」
「ただ一つ、わしらのように星の痛みをつくったものに対してはそれなりの代償が存在する」
「代償ですか」
「そうじゃ……。
この時間平面、いや、二周目といったほうがいいじゃろう。
この二周目で感じたことは」
「感じたこと?」
「何か知っているの」
「いや、おぬし達は気づいているのかということじゃ。
二周目の意味を。
ふ〜む、そうじゃな『前の周』と比べて何か変わったことはないか?」
ロボはこの二周目で目覚めてまだ間もないといってもいいため、なかなか難しい質問であった。
そのため投げかけられたのは他の三人。そのなかクロノが発言した。
「敵が一部強くなっていたことか?」
「違うのお」
「『前の周』から武器を引き継いでいるって事?」
「いやいや」
「『前の周』では出会わなかったヒトに出会うようになったこととか?」
「近いのぉ」
「歴史?」
「ふむ、及第点三歩手前というところかのぉ。
よく考えるんじゃ、時代を作り変えたお前さんたちなら分かるだろう」
「そんな事言われてもねぇ」
「まあよい、この時間平面で結末(エンディング)までに気づけばいいことじゃ」
「結末ですか」
「そう、お前さんたちがあのエネルギーの嵐の原因を探し、そしてそれを解決した後までに気づいてくれればよい。
前の時間平面で覚悟してラヴォスを倒すという途方もなかった目的はすでに達成しておるのだからのぉ。
自信を持って行けば良い」
「ソレデ、ハッシュサンはエネルギーノアラシの原因について、どこまで知っているのデスカ」
「さて、エネルギーの嵐の原因か。
正直、なにが原因なのか詳しくはわからん」
「ハッシュでも……」
「しかし、結局のところお前さんたちが関わってきたことが、少しずつ複雑に絡み合っておる。
一つのことが原因だというには難しいのではないのではないのか?」
「一つ一つ原因をつぶしていくしかないのか」
「そうなるだろうな。わしも少し考えてみよう。
まあ、あまり参考にもならないかもしれないが、この知識を役に立てよう」
「アリガトウゴザイマス」
「なに、気にするな。ラヴォスを倒した恩人だ、悪くは扱わんよ。
それからスペッキオの部屋に寄っていくとい……」
ウウウィウィウィウィウィウィウィイイイイイン
「!! ゲート」
「どうやら時間の迷い子らしいのぉ、最近はめっきり時空の歪みも減ったというのに
これも時間全体に影響を及ぼしている何かがなくなったためなのかも知れんな……」
「わたしが行きましょうか」
「いやいや、大丈夫じゃ。スペッキオの部屋に行ってるがよい」
老人は三人と一体をスペッキオの部屋に送り出すと、光の柱の部屋からの迷い子が姿を現すのを待った。
その姿は少年、服装は現代風、黒茶の髪色に青い目、一般的な中央大陸の血統である。
「ここは、『時の最果て』……。時間の迷い子が、行き着く所だ。
君はどっから来なすった?」
「え、僕はパレポリから来ました」
「いつの時代が分かるか?」
「時代?」
「君が来た年代、年のことだ」
「ああ、王国暦……」
がちゃ
扉を開けると1匹の緑の野カエルがいた。
「ス、スペッキオ??」
マールは思わずその野カエルに向かって言う。
「なんだ、おめーら 確かにオレ、スペッキオ。 戦の神! ん? お前ら見たことがあるぞ。
なかなかの心の力をもっているな」
「クロノ、あれ、スペッキオなにに見える?」
「野生のカエル、かな?」
マールに聞かれてクロノは答え、近くにいたロボをみる。
「ワタシニハ、ミドリカラーのゴンザレスにミエマスガ」
「私には、モスティに見えるけど」
「モスティ、ってガルディアの森にいる?」
「ええ、確かにモスティに」
「オレの姿、おめーの強さ。おめーが強ければ強そうに 弱ければ弱そうに見える。
ん? おめーら、十分に力を使いこなしていないな
そうか、表のジジイ、それでここに通したか」
「使いこなしていないって、どう言うことよ」
「にしても厄介なヤツらをもってきたな
わかった、実戦で教えてやる、かかって来い」
そういってスペッキオは戦闘体制に入った。
「三体一でも、四体一でもいいぞ、かかって来い。
おめーらの持ってる心の強さ、力。ためしてやる」
「もうあの顔を見ると、何を言っても無理なようね」
三人と一体、一様にして同じ姿ではないのだが、全員がスペッキオの姿をそう感じた。
「行くわよ、ロボ、マール、あとクロノ」
「……あ、ああ」
なんかついでのように言われたクロノは、なんとなく、いや、なんとなくだが。
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