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【54】Europa-0120 REDCOW 07/4/26(木) 22:13

【58】Re:Europa-0120 REDCOW 07/11/1(木) 0:00
【59】Europa-0120 REDCOW 07/11/23(金) 15:39

【58】Re:Europa-0120
 REDCOW  - 07/11/1(木) 0:00 -

引用なし
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    セイラ・マス名誉会長
 地球屈指の一大財閥グループ「マス」家の前総帥。養父ハンフリー・マス伯爵の残した酒類販売企業グループを、地球の一地域の規模から宇宙規模の巨大サプライヤーに発展させる。宇宙の酒類販売におけるマス家のシェアは実に72%とトップシェアを誇り、殆どの企業がマス家と何らかの資本関係を結ぶに至っている。
 彼女の手腕はまるで神が舞い降りたかのように的確で、確実に物事の先を見通す預言者とも評される未来視能力で知られる。
 現在は経営の一線からは手を引き、慈善活動を主に進めている。後継者は彼女の養女として育ったリィナ・マスが継ぐ。
 
 リィナ・マス総帥
 マスグループ現最高責任者。マス家は彼女の代になり、政治世界でも隠然たる影響力を行使するに至る。養母であるセイラからありとあらゆる経営学や哲学を学んだ彼女は、大方の予想に反して、セイラが築いた巨大グループを見事に引き継ぎ、更に発展させる。
 マス家が投資する大企業の中にはアナハイム・エレクトロニクスの名前もあり、政界は勿論、軍部においてもマス家の勢力が存在する。
 
 ジュドー・アーシタ大尉(51)
 本来なら佐官級になっていてもおかしくない戦歴と功績を持つが、本人が責任を負う事を拒否し辞退。大尉だが軍内部でも様々な評価で見られており、敬う者もあれば蔑む者もいる。しかし、その類いまれなNT能力は一目置かれており、NTの士官候補生を訓練する訓練教官として活動している。

 オルドー・セット小尉(19)
 木星軍のジュドーの部下として配属される新兵。類い稀なNT適性を持ち、一度に沢山のビットを正確にコントロール出来ることが評価され配属される。彼の両親は海賊によって殺害されており、肉親は妹一人。その妹のミリアもまた軍へ入隊し、パイロットの道を進む。

 ランディ・カリスト中尉(22)
 木星軍のエース級のパイロットとしては既に名の通ったパイロット。どんな機体でも自在に操縦できるパイロット適性の高さは、軍部でもトップと評価されている。

 アケーシア・スペンサー曹長(20)
 医療系の部門に配属されているが、予備パイロットとしても声が掛かるNT適性を持つ。ヨーロッパの名門スペンサー家出身の才色兼備の彼女は、エリート士官候補生の道もあったが、あえてその道を断り医療の道へ進む。
 
 カイル・グレンハート少尉(19)
 オルドーと同期の新兵。しかし、元はアナハイムのサンフランシスコ精神科学研究所の試験パイロット出身で、幼少の頃からニュータイプ能力を開花させていた。機関部志願の彼だが、その類い稀なNT適性によりジュドーの部隊に配属される。同じアナハイム仲間として堂本太郎がおり、堂本は幼なじみ的存在。
 
 ミリア・セット中尉(19)
 兄よりも高いNT適性を持ち、NTの申し子といっても良い天才ぶりは入隊直後から軍部でも話題に上る。天真爛漫な性格だが、とても冷静に見つめる目も持ち、兄の復讐心を心配している。彼女は兄が暴走しないよう止めるために同じ道を進む事を決意する。
 
  
 War Europa.

 地球圏グラナダを出港した地球連邦軍は、目的地である木星圏エウロパへ向けて大艦隊を編成した。旗艦パトリオットを中心に、ラー・カイラム級のインディペンデンス、エンタープライズ、エクセルシオールが脇を固め、前衛には最新鋭NT試験艦であるフェアレディ号を中心に、ラー・グスター級が8隻という布陣だった。近年、これほどの大艦隊を編成したことはなく、連邦史にも残る大型遠征と言えた。
 連邦軍はエンロール提督の指揮下でアクアロード防衛計画を策定。長い間連邦軍は宇宙への感心が低く、海賊行為に対しても黙認してきた面があったが、今回の遠征はそうしたグループの一掃も兼ねた牽制の意味合いも持ち、特に近年頭角を現しつつある勢力であるディープスペースアライアンス(DSA)を叩くことで、これに協力する諸勢力を鎮圧しようという計画であった。
 
 長らく戦争が無かったために、MSの開発は大きく滞った。しかし、この間にも着実に技術の進歩はあり、長い間扱いの難しい高価な兵器と見られてきたニュータイプ向けの装備も一般化しつつあった。そのために海賊達の兵器の中にもこうしたニュータイプ向けの装備を持った機体が見られるようになり、それらへの対応を含めて連邦軍も大きく見直さざるを得ない時期に来ていた。
 しかし、肝心のニュータイプパイロットの確保は難航しており、連邦軍は疑似ニュータイプ技術に着目。ニュータイプ感応波を人工的に作り出して制御するバイオコンピュータ技術の開発を進めた。それは既存兵力構成を維持しつつ、全体にニュータイプ能力を付加する選択肢として、慢性的財政難に悩む連邦にとって魅力的な技術といえた。
 だが、現実はそう甘くは無く、海賊達の間でもニュータイプ能力者が増加している現実の前に、疑似ニュータイプがどこまで効果があるのかは未知数だった。提督はこの懸念に対する保険として、0117-New hybrid計画に着手。当初計画には無かった「ニュータイプのみ」で新型疑似ニュータイプ兵器を運用した場合の運用試験計画を実行に移す。
 
 この計画には3つの目的があった。一つは公へのアピールとして、研究結果がどれほどのパフォーマンスを持つかを一般に知らしめるため。二つ目はDSAを殲滅し、アクアレーンの海賊達にクサビを打ち込むため。三つ目はニュータイプ人員が集らない場合の保険として、人員の数ではなく、機体の数で押し切れるように規格量産化に目処をつけるためであった。
 システム開発はサナリーを中心に進め、アナハイムに組立をアウトソースする体制をとった。これは最近の連邦の開発体制で、連邦の技術開発の内製化と秘匿化による開発計画のフリーハンドを増やす目的があった。
 実際、以前の連邦ではアナハイムに高い依存をしたが為に技術が漏洩し、海賊達にアナハイムを通じて高度な技術が渡ってしまうという問題を抱えていた。サナリーの登場とアナハイムへのアウトソース化は、コアテクノロジーの秘匿化の上で大きな役割を担っていた。
 
 New-hybrid計画では疑似ニュータイプ技術の一つである「junction(ジャンクション)」が開発された。このシステムは有線接続型ビットコントロールを進化させ、よりバラエティに富んだ兵器を柔軟に展開させることは勿論、機体間の連携や様々なモジュールとのワイヤー接続を疑似ニュータイプリンクにより確実に接続させることを主眼に開発された。
 このシステムが完成すれば、将来的には無線接続による柔軟な可変MSなどの開発に目処がつき、少ないリソースで大きなパフォーマンスを引き出す様なシステム開発に道が開かれる。しかし、疑似ニュータイプリンクは安定せず、若干のニュータイプの素質を持つパイロットが利用しないと、その性能は安定しなかった。故に開発計画は量産に至らず、まだ研究開発段階を抜け出せずにいた。
 政治的には、長らくの平和の時代がもたらした軍事力否定の動きもあり、地球連邦軍の開発計画におけるフリーハンドは年々小さくなってきていた。その中で連邦軍首脳は苦心して低コスト・ハイパフォーマンスを見いだせる可能性を模索していたにもかかわらず、開発計画が思うように行かないことに焦りを感じ始めていた。
 特に、連邦政府は軍事予算に占める研究開発費の抑制を年々厳しく要求してきており、軍部の開発計画の有効性を立証する必要に迫られていた。

 連邦軍としては、DSAは保険であった。
 長らくその存在を知りつつも黙認を続けてきたのは、連邦軍としても存在理由を保存しておく必要性があった
 
 敵のいない軍隊に、高い税金を浪費させる余裕を持つ国は無い。
 
 UC0093年に起きた第二次ネオジオン紛争が終って以降、連邦軍全体が動く必要性に迫られる事件は起きていない。もはや大きな予算の獲得が可能な程の戦争は、それこそ異星人との戦争でも起きない限りは有りえない状況と言えた。軍部中枢の中ではこの状況に対して二つの動きがあった。
 一つは連邦政府の方針に従い軍縮路線を推し進め、少数精鋭ながら強力な艦隊を整備する方向を進む一派。
 もう一つは表向き連邦政府の方針に従う様に見せかけ、軍縮路線を進みながら徐々に敵を作り育て上げようとする一派。
 前者はロンドベルに始まる少数精鋭部隊の個別育成を経ながら、徐々に艦隊全体を必要最低限の形態へ変化させる表の流れとして表れ、後者は前者の勢力に与しつつも既得権益を温存するための方策を画策する裏の流れとして存在した。
<Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X Mach-O; ja-JP-mac; rv:1.8.1.8) Gecko/2...@221x241x93x138.ap221.ftth.ucom.ne.jp>

【59】Europa-0120
 REDCOW  - 07/11/23(金) 15:39 -

引用なし
パスワード
   「…進路、2026103。空間グリッドLSW324162マーク3。フェアレディは旗艦エンタープライズの後方を行く。」
「館長、エンタープライズからOnet(光通信)暗号回線が繋がっています。回線接続を許可しますか?」
「うむ、繋いでくれ。コンピューター、スクリーンオン。」
 
 スクリーンに映し出された人物は、白髪のコーカソイド特有の掘りの深い顔立ちをした紳士で、襟章には連邦軍最高指令である提督の証が輝いている。
 
「やぁ、ダン。どうだね新造艦の具合は。」
「提督、現在当艦の運用に目立った問題は起きておりません。予定通り、これからの演習に備えられるかと。」
「ははは、そうかね。まぁ、飽くまで演習とはいえ、手は抜いてくれるな。…我々が本気だと言う事を、相手にも分かってもらわなくてはな。」
「当然です。自分も提督のお考えに相違ありません。全力で任務に取り組み、必ずや大きな成果をお見せしましょう。」
「頼もしい。期待している。…まぁ、とはいえ、君らだけじゃない。我々も良い格好をさせてくれ。」
「それは勿論。エンタープライズに適う敵はおりません。それだけじゃない。連邦の旗艦が4隻です。我々は出させて頂けるだけで光栄の極みであります。」

ぴー!ぴー!ぴー!

「どうした。報告。」
「館長、前方に艦隊らしき機影が見えます。我が方に向けて前進してきている模様です。」
「うーむ。当艦は旗艦エンタープライズの指示に従い、後方を行く。第一戦闘配備。各員、持ち場に着け。これより、フェアレディは戦闘領域に突入する。」
 
パイロット控室。

「第一戦闘配備だってよ。」
 
 二卵性の双子の妹に話しかけるのは、眉目の整った長身の青年。名をオルドーと言い、この作戦での従軍が初の新兵だ。
 彼が話しかけた相手である妹は名をミリアと言い、既に幾つかの作戦で高い評価を得ているニュータイプパイロットとして知られている。
 彼女は双子の兄の言葉を聞く前に、既に何かを感じ取っていた。それは微かだが、自分と同じ能力を持つ者の波動。しかし、この艦には彼女同様のニュータイプは沢山乗艦している。だが、その感じとも違う、どこか無機質で機械的なものだ。
 
「あら、兄さん。ねぇ、感じる?」
「いや。」
「そう、…気のせいかしら。」
 
 彼女は双子の兄が何も感じていないという話に、気のせいだと思う事にした。何よりその反応はもう無い。彼女が控室のドアの方を向くと、1人の男性が入ってきた。その襟章には大尉の階級章が付いており、彼女の上官でありチームリーダーの男だ。

「何をしている。アラートを聴いただろう。早く乗れ。」
「は、申し訳有りません。すぐに向かいます。」
 
 二人が敬礼し謝罪する。
 大尉は彼らに礼を返すと、自身もヘルメットを取りにロッカーへ向かう。
 そのすれ違い様、ミリアは彼に小声で話しかける。
 
「大尉、先ほど何か感じませんでしたか。その、微かに機械的な…。」
「…そうか。お前もか。」
「では、大尉も。」
「…相手も俺達と同じかもしれない。心して掛れ。」
「はい。」
 
 部下達が出て行く。
 彼は自分のロッカーを開けると、自分専用のヘルメットをとり出した。青い偏光グラス付きの特注品で、被ってしまえば表情は見えない。彼はそれを装着し、側面のボタンを押すとスーツとヘルメットが密閉された。
 ヘルメットのウィンドウに様々な情報が映し出される。そこにメッセージが幾つか入っていた。
 
「メッセージが2件、入っています。」
「メッセージを全てオープン。」
 
 彼の命令に従って一通目のメッセージが開かれた。
 
「…残念な知らせよ。艦隊司令部はあなたの退役を考え始めたわ。もう、私でもあなたを繋ぎ止めるのは厳しいわね。フェアレディでの仕事が、あなたの最後の任務と思って間違いないわ。…よりによって、ジェガンでなんて…。死んだって、葬式なんて挙げないからね。……必ず帰ってくるのよ。」
 
 続いて二通目を開く。
 
「アナハイムのマリアです。大尉のジェガンに実装しましたジャンクションですが、シンクロ率がやはりデルタシリーズ程には上がりませんでした。ですので、私の独断ではありますが、先日お話しましたサイコフレームと直付けする形式に変更しました。実シンクロ率はぶっつけ本番ではありますが、これで上がるはずです。…本来なら大尉がデルタに乗るべきだと、私は思います。…出過ぎました。申し訳有りません。では、ご報告までに。」
 
 彼は一通りメッセージを聞き終えると、目を閉じた。
 
「全件消去。…メッセージウィンドウ、クローズ。スクリーンオフ。」
 
 彼は目を静かに開くと、颯爽と控室を出た。


キャラ設定補足

 ダン・クロード・マケイン大佐(45)
 New-hybrid計画新造艦であるフェアレディ号の艦長。自身はNTの才能をそれほど持ち合わせているわけではないが、軍の佐官クラスでは数少ないNT能力者の一人。冷静で取り立てて派手な所は無いが、堅実で確実な指揮能力が持ち味。ただ、その取り立てて派手ではない部分は、時にマニュアル的で能動的であるとは言い難い。
 
 ケリー・ドロシー・クインシー中佐(38)
 フェアレディ号副長。女性高官としてはルー・ルカ大佐と並んで注目を集める彼女は、ルー・ルカ大佐にはないNTの才能も持つことで知られる。高いNT能力者の集団であるフェアレディ号のクルーの中でも、彼女の存在感は大きい。特にこの艦が「フェアレディ」という名がついたのも、彼女が由来と言われている。
 
 ヨーコ・シモダ大尉(30)
 フェアレディ号メインパイロット。連邦軍屈指のエリートパイロットと名高い彼女だが、その名声も数々の高官との浮いた噂の上に有るといういわく付き。しかし、それでも実際の操舵能力の高さには定評があり、彼女がエリートと言われるだけの理由は伺える。
 
 カーナ・グレナ・クラーク少尉(25)
 フェアレディ号の通信システムオペレーター。ニュータイプ能力も僅かに持つ彼女はクラーク中将の三女。才色兼備の才女で軍内部での将来の期待も高いが、父であるスティーブは彼女の軍への入隊は勿論、今回の従軍にも猛反対した。しかし、彼女もなかなかの切れ者で、父の説得を上手く交わしてフェアレディ号で後方支援するということで納得させる。何が有ろうと芯の一本通った女性。
<Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X Mach-O; ja-JP-mac; rv:1.8.1.9) Gecko/2...@Ta1.V9385d3.rppp.jp>

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