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【7】ショートストーリー 現代 Hoku 06/4/7(金) 14:46

【12】現代 V Hoku 06/4/7(金) 14:49
【13】現代 VI Hoku 06/4/7(金) 14:50
【14】現代 VII Hoku 06/4/7(金) 14:51
【15】現代 VIII Hoku 06/4/7(金) 14:51
【16】現代 IX Hoku 06/4/7(金) 14:52

【12】現代 V
 Hoku WEB  - 06/4/7(金) 14:49 -
  
 なんだろう、この不思議な気持ち。

もうどうしようもなかった僕は、ただただ寄せては引く波をぼーっと見ていた。
だが可笑しなことに、普通なら絶望するしかないはずであった僕の心は、
180度回転して癒えていった。原因はこの景色だった、
………と思う。

「お待たせ、セルジュ!」
 僕はハッと振り返った。その先に、一人の茶色の髪に緑色の目をした、同い年くらいの女の子が後ろに手を組みながら歩いてきた。
「ああ、レナ」
 と、男の声も別のほうから聞こえてきた。
僕はもう一度別の方へ顔の向きをかえた。

僕は、唖然とした。

なんで、なんで僕がいるんだよ。
そのセルジュという男は、
今の僕をそのまま鏡に映したような少年だった。
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【13】現代 VI
 Hoku WEB  - 06/4/7(金) 14:50 -
  
「あのぉ…」
僕は彼らに話しかけた。でもなかなか振り向いてくれない。まるで見えていないようだ…いや、見えてなかったんだ。
 2人は、少し前へ歩いていった。そして、セルジュはキラキラした動物の鱗を女性…レナに渡した。
2人は、笑顔で向き合った。

 僕は、ただ2人を見ることにした。でも、なぜかそれは僕をあの波のときのように温めた。

とても懐かしい、不思議な気持ちになった。
けれどもそれと同時に、不思議な声が聞こえた。
「セ………ジ…。セ……ル……ジ……ュ…」
「…?!」
「あなたが……ルジュ……」
「お…俺を呼んでるのか?!」
 僕はまた叫んだ。気づくと先ほどのセルジュとレナは既にいなくなっていた。
「どこにいった?!」
 僕はあたりを見回した。

ザザアアアアアアアア・・・・・!!!!!!!

沖のほうから、大きな波が押し寄せてきた。

僕は必死に逃げたが、すぐに飲み込まれてしまった。
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【14】現代 VII
 Hoku WEB  - 06/4/7(金) 14:51 -
  
「セルジュ…、セルジュ………」

俺は……誰だ………?

僕は…僕は…!!!!!

君は……、誰……。

でも、どこかで聞いたことある、懐かしい声…。

僕は… 君を… 知っている?

遠い遠い、もう手の届くことの無いどこかの世界で交わされた、遥かな約束…

「やっと… やっと会えたね、セルジュ…」

「…」

僕は不思議な青い空間で、君と向かい合って立っていた。
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【15】現代 VIII
 Hoku WEB  - 06/4/7(金) 14:51 -
  
「―違う!ぼ… 俺は!リュウだ!!」

「…」

二人とも黙ってしまった。

「これを見て…」
少女は手から何やらお守り袋のようなものを出した。

「!!」
僕ははっとした。涙がこぼれていたからだ。

「僕は…、僕はセルジュ… だ…」

「セルジュ……」

「君は… サラ… ううん、キッド?いや、そうじゃない。君はサラであり、キッドなんだね…」

僕はそっと少女に近づいた。
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【16】現代 IX
 Hoku WEB  - 06/4/7(金) 14:52 -
  
僕はそっと彼女に触れようとした。だがそのとたん、突然辺りがパッと光った。

そして、またあの浜辺に戻っていた。

「う…」

「セルジュ、セルジュ!!おい!!」
何やら懐かしい声が僕の耳に入った。

「へへっ…、久しぶりだね、キッド」
僕も懐かしい格好にいつの間にか着替えていた。
赤いバンダナ、グレーのベストの下に黒のTシャツ、紐のネックレスに茶色の手袋、更に青い少しダブダブのズボンまでぴったり「セルジュ」だった。

「やっと果たせたな、遠い遠い、約束を…。まさか…忘れてネェよな?!」
キッドが腕を組んで僕を下から覗き込むようにして言った。
「勿論覚えてるよ」
僕が笑顔で言った。

「懐かしいな…、本当に」
キッドが海のほうを見つめて言った。

「うん…、僕は君がいなければ…。本当に有難う」
僕は目を閉じて、少し小声でうなずいた。

「馬鹿だな、セルジュ…」
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