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【26】SSSの樹 冥香 06/5/21(日) 16:05
【27】短文No,1 冥香 06/5/22(月) 16:16
【28】短文No,2 冥香 06/5/26(金) 12:14
【29】短文No,3 冥香 06/6/20(火) 9:03
【40】感想スレ REDCOW 06/8/15(火) 22:56
【41】Re:感想スレ 冥香 06/8/16(水) 13:57

【26】SSSの樹
 冥香  - 06/5/21(日) 16:05 -
  
こんにちは、冥香でございます。

こちらのスレッドには「SSと呼べないほど短い作品」を挿していこうかと考えております。

壮大なお話にはならないけれど、見てみたい、読んでみたい、そして書いてみたいエピソードが、クロノシリーズのなかにはたくさんあるように思います。

そういったものを書き散らしてゆくと収集がつかなくなりそうなので、ここにまとめて収納してしまおうという魂胆であります(笑)

「SSSの樹」……タイトルは「樹」ですが、今のところ、まだただの「棒」です。
立派な「樹」になるように、がんばって「枝葉」を茂らせていきたいと思います。
スレ主以外の方の作品も大歓迎です!どんどん挿して下さい!
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【27】短文No,1
 冥香  - 06/5/22(月) 16:16 -
  
 変わってゆくことに、恐怖は伴わない。

 終ることがないとさえ思われた苦しみから解放されることへの、安堵……あるいは、彼にそう思い込ませるために巧みに仕組まれた何かが、男を捕らえる。

 抵抗らしい抵抗もなしに人であることを棄てた彼はしかし、決して棄て去ることの赦されぬ記憶を、異形となり果てた我が身に刻もうと、牙口を喘がせた。

 「……セ、……セル、ジュ……」

 牙口から零れたとき、言葉は憎しみの破片となって、闇に溶けた。

 男はその言葉を、愛を込めて放ったはずだったのに。


。。。。
いつまでも「棒」では寂しいので、まずは一枝挿してみました(笑)

お絵描き板のほうで描かせていただいたヤマネコの絵に付けた、即興SSの直しです。

……と、こんな感じで、少しづつ少しづつ増やしていきたいと思います。
よろしく。
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【28】短文No,2
 冥香  - 06/5/26(金) 12:14 -
  
 それが初めに聴いたのは声。

 うっかり傷つけて、失くしてしまうことのないよう、厳重に封印したはずの記憶を呼び覚ます、懐かしい声。

 時が……、至った?

 百年も昔に動くことをやめてしまった大きな身体を、声の主たちは苦労しながら運ぼうとしているらしい。

 目を……、開かなくては。

 自分が「開く」形状の眼を持たぬことを、それは知っていたが、そんなことは関係なかった。

 それ……いや、「彼」は、目を開いた。

 泣き笑いの顔でこちらを見ているのは、遥かな記憶と寸分違わぬ姿のままの少女。

 「お疲れさま。……遅くなって、ごめんね。……ロボ」

 震える言葉を紡ぎながら、彼女は血の通ったものにするように、彼の鋼の手を擦った。


。。。。。。
こんにちは。二本目の枝を挿しにまいりました。
自分のなかで、ロボは魔王様に次ぐ印象的なエピソードの多いキャラとなっております。
彼のお話もいっぱい書いていけたらいいなと思っておりますが、
……彼の背景にあるものの「重さ」は、魔王様のそれに匹敵するのも事実でして、それをかたちにするのは、なかなかたいへんであります;;
では、これにて。
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【29】短文No,3
 冥香  - 06/6/20(火) 9:03 -
  
 瞳の美しさを宝石に喩えた詩(うた)は、いったい何千篇あるだろうか。
 この眸(ひとみ)の美しさは、それに当てはまらない。と、彼女は感じた。

 それは、強いて喩えるならば金属のようだ。

 宝石が、たとえどれほど深い色合いのものであっても己の奥底まで透かし見ることを赦すのに対し、金属は決してそれを赦さない。

 彼の眸は、紅い鋼のようだ。

 縦に裂けた瞳孔はあまりにも細く、何人にもその奥を覗くことを赦さない。
 人のものとは異なる眸は、否定できぬ恐怖と、そして悲しみを、持ち主の意志とは無関係に見る者に強いる。

 耐えかねたように眼を逸らしたのは、彼自身のほう。
 あらぬほうを見やる紅い眸が、気まずげに、悲しげにさまようのを彼女は見たが、それさえも、すぐに瞼の下へと消えてしまう。

 ああ、やっぱり。

 確信が、彼女の心を冷やす。
 彼は、自分の眸は「見る者に恐怖の念を植え付けるためのもの」だと、そう思い込んでいる。
 それもまた事実。
 彼自身が望んで、手に入れたはずのもの。

 すべてを圧し拉ぎ、ひれ伏させる「力」の、象徴ともいえるそれ。

 かつて、煮えたぎるさまざまな負の感情を湛えた眼を、真っ直ぐに、彼女に……彼女たちに、彼は向けてきた。
 それは「威嚇する」というほど、あからさまなものではなかったけれど……、
 だが、自分の眼の持つ力を、都合のよいものであると思ってはいただろう。

 ここに至って、おそらく初めて彼は己の眼光を疎ましいと思い……、
 だが、それを抑えることはできず、せめて彼女から顔を背け、瞼を下ろすしかなかった。
 己の眼が、彼女を傷つけてしまうことを恐れて。

 「……弱虫」

 囁かれた言葉に、彼は思わず眼を戻す。嵌められた、と思う間もなく両手で頬を挟まれる。

 この世のあらゆる穢れを映してきた、己の眸の紅と対を成すような、一点の曇りもない、彼女の瞳の蒼。

 見てはいけない。覗いてはいけない。……穢してはいけない。

 だが、

 「ちゃんと見て」

 咎めるような、愛しむような彼女の声は、否やを赦さない。

 「ちゃんと見て。わたしはあんたの眼を、怖いなんて思わないから。……だから」

 戦きを滲ませた彼に、痛みに耐えるかのような笑みを彼女は向けた。

 「……だから、あんたも怖がらないで」


。。。。。
三本目でございます。
「短文」というにはギリギリの長さかもしれませんね。
相も変わらず「冥香設定」の「彼」と「彼女」でした。
もう説明いらないですよね?(笑)
では。
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【40】感想スレ
 REDCOW  - 06/8/15(火) 22:56 -
  
 えっと、作品の表現がやっぱり上手いです。
 やっぱ文章をやろうと頑張ってきた人と比べると、私の場合は流れ着いてやっちゃってるからやっつけ仕事感覚なんで。(おい)特に三番目の作品の文章表現が凄いなぁって。同じようにやれといわれるとかなり辛いです。w

 ロボはそうですねぇ、400年という歴史を乗り越えたキャラクターなので本当に重みでは違いが有るのですが、彼は再開時に故障しているので400年きっちり生き抜いたわけでも無いんですよね。そこら辺がハッキリしていない辺り、もしかしたら謎が埋まっているんじゃないかなとか思ったりするんですけど。

 カエル関係はCPシーズン1で扱っているので色々と感じてくれた方も多かったりだったんですが、実際にロボも今後扱うんですけど、これはこれで楽しめるネタを用意していたりもします。w
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【41】Re:感想スレ
 冥香  - 06/8/16(水) 13:57 -
  
▼REDCOW様:
うわッ!びっくりした!(笑)
ええと、コメントありがとうございます!(^^
ではレス返しをさせていただきます。

> えっと、作品の表現がやっぱり上手いです。
> やっぱ文章をやろうと頑張ってきた人と比べると、私の場合は流れ着いてやっちゃってるからやっつけ仕事感覚なんで。(おい)特に三番目の作品の文章表現が凄いなぁって。同じようにやれといわれるとかなり辛いです。w

い、いえ、お恥ずかしいです;
自分はどうしても響きを重視して文を作ってしまうんですが、REDCOW様のようなテンポのいい、全体的なバランスのとれた作品も書けたらなぁ、と思っております。

> ロボはそうですねぇ、400年という歴史を乗り越えたキャラクターなので本当に重みでは違いが有るのですが、彼は再開時に故障しているので400年きっちり生き抜いたわけでも無いんですよね。そこら辺がハッキリしていない辺り、もしかしたら謎が埋まっているんじゃないかなとか思ったりするんですけど。

以前に他の作品にいただいたご感想にも答えましたが、ロボというキャラの抱えているものの「重み」は、他のメンバーの比ではないように思えます。
お恥ずかしい話ですが、彼に関しては自分の器量では書ききれないなぁ、というのが正直な感想ですね(^^;

> カエル関係はCPシーズン1で扱っているので色々と感じてくれた方も多かったりだったんですが、実際にロボも今後扱うんですけど、これはこれで楽しめるネタを用意していたりもします。w

ロボも登場するということは、未来やはたまた原始の時代にも今後スポットが当てられるということでしょうか?
うーん、楽しみです〜(^^

ところで、こちらに書いてしまって恐縮なのですが、REDCOW様の「即興もの」、続きを楽しみにさせていただいております。
いえ、完結していない作品に感想を寄せるって、ちょっと苦手なもので(^^;
CPのほうは興奮のあまりやたら感想書きつけてますが(笑)

ではでは、ご感想ありがとうございました!(^^
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