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【89】OG二話目の3試作
 REDCOW  - 10/12/7(火) 9:47 -

引用なし
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    ドーラは半ば呆れた表情だが、彼女なりに彼を心配している様だ。
 彼女は早速傍らで聞いていたマリアと整備の相談を始める。
 そして、時は現在に戻り、ジュドーは艦長席からμシステムの制御を始めた。
 シナプス越しに承認コードを入力すると、シナプスが認証を始める。
 
「(ガイア、起動システムコントロール、μ)」
「<ガイア、μシステム起動にはNTLv.7以上のNT能力を要求します。あなたのNT能力は………7以上を確認。起動します。>」
 
 船内MSドックではドーラ達が見守っていた。
 
「<μシステムは現在、三機のビットを確認。ビットコントロールは第一ビットに生命反応3を確認しました。システムコントロールはビット外部より行われていますが、続行しますか?>」
「(ガイア、コントロール続行。出撃コントロールは俺がする。)」
「<ガイア、了解。ビットシステム、NTリンケージをフルリンク。シンクロ率70…80…90…100…最大出力>」

 ガイアのメッセージが出力レベルの上昇を告げるに従い、彼に迫る強烈な重圧が全身にのしかかる。その重さは彼の想像以上で、ドーラが話した通りこのシステムはOSの未熟さを力技で無理矢理NTリンクし引っ張る様な構造を取っている様だ。彼の脳裏に入って来る様々な情報がそれを裏付ける。いかにLv.7を超える彼にも、このシステムは相当に荷が重い。
 
「(お前達、良いか?俺が機体制御のバックアップをする。後の操縦制御はオルドー、カイル、それにドウモト君、君らに任せるぞ。)」
「(了解)」
「<ガイア、μシステムは出撃管制下に入りました。カタパルトより第三、第二ビットが先行射出されます。>」
「(ガイア、了解。)アーカンソー軍曹、μエアフォース、出撃する。」
「はい!(ガイア、MSカタパルトへリンク)NX012503-μ Airforceをブルーマーキング完了。出撃どうぞ。」
 
 ジュドーによって起動が確認されたシステムは、格納庫からカタパルトデッキに上がり射出され始める。
 先に二つのビットが射出された後、三人の乗るコアビットが発進した。
 射出されたビット達は宇宙に飛び出すと変形を始める。
 先に射出された二つが翼に変形すると、コアを挟む様にドッキング。それはまるで大型の戦闘機といった様相だ。
 
「…さてと、この場合、少佐が上官ですから、あなたの指揮で動くのが筋ですね。」
 
 センターシートに座るオルドーが二人に話しかける。
 コックピットではオルドーをセンターシートに、左横後部をカイルが、右横後部をタロウが座っていた。
 
「そうなりますか。でも、良いかな?僕らはどうやら同い年。ここは階級を忘れませんか。」
「え、少佐は同い年?そりゃ凄い。同期同士階級を忘れるのは良い。だけど、少佐は戦術士官だ。この中で一番指揮に向いているだろう。」
「わかりました。指揮は僕が。それと、僕の事はドウモトでもタロウでもどちらでも良い。」
 
 彼らの話に、それまで黙っていたカイルが口を開いた。
 
「では、俺はカイルで良い。オルドー、索敵は俺がやる。操縦はお前がやれ。タロウ、あとはあなたに任せる。オルドーも良いな?」
「おぉ、良いぜ。では、タロウ。俺も手足となって頑張りまっせ。」

 その口調はよく言えば簡潔だが、見ようによっては素っ気なく、または当然の様に砕けたとも言える。それに対するオルドーもまたさして気にするでも無く、どちらかと言えば当然の様に受け答えていた。タロウは二人の会話に驚きつつも、事前にエウロパ戦争時に彼らが同乗していたことも知っていた。軍部での人間関係は殺伐としたものを想像していたが、彼らを見ているとまるで根っからの友人の様な付き合いに、何となく羨ましさも感じた。しかし、それ以上に拍子抜けするものもあった。
 
「…何だろう。君らと居ると…戦場に居る気がしないな。…(ガイア、μコマンドコントロール、ドウモト。操舵、セット。索敵、グレンハート)」
「<ガイア、μコマンドコントロールへ送信。現在、当機はアーシタ少佐の指揮下にあります…承認されました。システムオールグリーン。μエアフォースへようこそ。現在、回避行動α1で行動、巡航速度インパルス3.8、シールド出力100%で正常運行中です。>
「(カイル、索敵開始)」
「(了解、索敵照準…感応波をスキャン………キャンセル)……ニューダブリンからのノイズが大きいな。」
 
 カイルは宙域に漂う膨大な感応波を感じた。
 その量はまともに受け入れたなら錯乱する程の声の嵐と言えるだろう。
 過去の時代にはそのままこの声を聴いて心を壊した者もいるというが、現在はこの声をある程度はシナプスが減殺制御してくれる。とはいえ、NT相手に索敵する場合においてはそうも行かず、直接この声の波に触れることは免れない。
 
「敵の狙いもそこだろう。彼らは僕らより深くNTを研究している。感応波を撹乱する効果的手法は感情を安定させないこと。それはこうした死者の強烈な心の叫びを聞かせることは悪い手ではない。」

 タロウの言葉は冷酷だが現実を話しているといえた。

「…えげつない。では、どうする?」
 
 カイルの言葉に、タロウは直ぐさま答えを出した。

「索敵照準を重力変動に切り替えて。敵もフォースシールドで航行しているはずだ。」
「了解。(索敵照準…重力変動からフォースシールドを予想………見つけたぞ。敵機にレッドマーカーセット。)………発見。座標を送る。)」
「座標確認。オルドー、空間グリッドN528mark7iへターゲット。インターセプトコースを取れるよう先回りする。カイル、武器システム起動!」
「了解。(コースセット。)」
「了解。(ガイア、ウェポンコントロール、プロトタイプフェイズ砲起動。)!?……ぐぁっ…重い。」
「(ガイア、前命令キャンセル)大丈夫か?…元々このシステムはNTレベル7を対象にしていると聞く。分割制御で対処する他無い。(ガイア、サイコミュ武器制御を等分割制御。)」
「<ガイア、サイコミュ武器システム制御感応波を当分割負担に切り替えます。なお、この機能は精度を約30%以上 低下させますが、よろしいですか?>」
「(ガイア、了承。)…ぐっ……、カイル大丈夫か?やってくれ。」
「大丈夫だ。軽くなった。(照準…ターゲットレッド。)………fire!」
 
 主武装であるフェイズ砲のビームが軌跡を描く。
 
「野郎共、ずらかるぞ。スラスター全開。フルインパルス!」
 
 爆発の最中、爆散し崩壊するニューダブリンを尻目に光学遮蔽し、艦をアステロイドベルトへ針路を向けて発進させる彼らの母艦マサムネ。
 爆発に巻き込まれ、幾つかの連邦艦はシールドで防ぎ切れず大破。シスターフェアレディ含めて数隻がシールドを維持するが総崩れと言えた。
 そんな中、一筋のビームが虚空を貫く。それは見事に命中し、彼ら母艦の遮蔽が解除された。
 
「報告!」
「シールド貫通、上部光学ジェネレーターオーバーロード」
「何!?」
「ビーム波長がフェイズ変調されており、我が方のシールドを透過したものと見られます。」
「連邦がマルチフェイズビームだと!?…センサーで追え、シールドの波長を訂正しろ!」
「は!」
「連邦め、やってくれる。だが、早々やられはせんよ。(変形開始)」
 
 彼の母艦が変形を始める。
 それはそれまでの艦の姿から、ビグロ型のMAを連想させる様な二つのアームを持った巨大なMAらしき形態となった。
 
「(全クルーに告ぐ。本艦は攻撃モードに移る。)
 
 クルー全員が近くのシートにベルトで固定された。
 全てのクルーはNTリンクコントロールに移行する。
 
「へへへ、見せてやろう。これが我々の戦い方だ!」

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【97】OG二話目が終わりました。 REDCOW 11/1/27(木) 20:13
【98】塗り絵してみました。 REDCOW 11/1/31(月) 1:22 [添付]
【99】塗り絵2 REDCOW 11/1/31(月) 1:22 [添付]

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