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【151】放課後レター 柚子 08/8/22(金) 16:45

【152】Re:放課後レター 柚子 08/8/22(金) 17:56
【153】放課後レター 柚子 08/8/22(金) 19:22
【154】Re:放課後レター 柚子 08/8/22(金) 20:29
【163】放課後レター 柚子 08/9/15(月) 22:37
【164】放課後レター 柚子 08/9/18(木) 0:55
【170】放課後レター 柚子 08/10/28(火) 6:17
【171】放課後レター 柚子 08/10/31(金) 0:56

【152】Re:放課後レター
 柚子  - 08/8/22(金) 17:56 -
  
*1leeter*


夏休みが終わり、またいつものように学校が始まる。
いつものように起きて、いつものように朝食を食べて――・・・


・・・って、それじゃぁ学校遅刻する〜〜ッッ!!!


「もぉーーっ!なんで起こしてくれなかったのぉ〜?!」

お母さんに文句を言いながら、慌てて、パジャマから制服に着替える。
 
「ちゃんと起こしたわよ〜? でも、あんたが起きなかったんじゃない!!」

「あぁ〜はい、はい・・あたしが悪かったです・・・」

「ご飯は〜?!」

「そんなのいらない! じゃぁ、いってきまーす」


あたし、星埜 妃。【ほしの きさき】
高校1年生。

高校生になって初めての夏休みを終え、今日が始業式!


なんだけど・・・バカなあたしは、つい夏休みと同じように起きちゃって
今、遅刻しそう・・・


「もぅ〜始業式に遅刻したら、シャレになんないしッ!!」

なんて、独り言を言いながら学校までの道を急ぐ。


学校が見えてきて、校門までダッシュ〓のはずが・・・。

ドン!!!

誰かとぶつかってしまった。

「す・・・すいませんッッ!!!」

とっさに謝るあたし。

「い、いや。俺こそ悪かった。怪我とかしてない?」

「だ、大丈夫です!!全然ッ!!! ・・・・あの怪我は・・?」

「あぁ、俺こそ大丈夫。立てる?」

そう言って、あたしに手を差しのべてくれた。

な・・・なんて優しい人なんでしょうッ!!!
見ず知らずのあたしに・・・なかなか普通の人にはできないモンよ!!
きっとこの人は、すっごく優しい人なんだろうなぁ・・・・

なんて思いながら、その手に捕まって立ち上がる。

「あっあの、ありがとうございます!!」

お礼を言いながら、その人の顔を見上げる。

背が高い。
先輩かな?あんなことできちゃうんだから、きっとかっこいいんだろうなぁ〜

「あ…」

その人が声を上げた。

「え…?」

あたしもその拍子にその人の顔をよく見てしまった。


その瞬間、あたしの目に信じられないものが入ってきた――・・・
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【153】放課後レター
 柚子  - 08/8/22(金) 19:22 -
  
*2leeter*


「・・・き、妃・・?」

その人があたしの名前を呼ぶ。

「りゅ・・・・・流晴・・??!!!」


さ・・・最悪っ!!!
よりによって、一瞬こんな奴のことを、優しい なんて思っちゃったじゃん!!!


「ちょっと!!さっきの‘ありがとう’返してよッ」

あ〜あ。こんな奴に‘ありがとう’とか言っちゃったよ・・・

「はぁ?!なに訳わかんねーこと言ってんだよ?!」

「あ〜ら!!さっきと随分、口調が違うことで!」
          
「俺、基本優しいからね?」


この・・・嘘つきッッ!!!!
あたしには、いぢわるばっかのくせに・・・っ!!!


あたしの前に立っているこの男・・。

町田 流晴。【まちだ りゅうせい】
高校1年生で、同じクラスの・・しかも隣の席・・・
そして出席番号も一緒・・・
‘まちだ’と‘ほしの’だもんね・・。
何でこの名字になってしまったんだか・・・本当に悲しくなったね・・・


そのせいで、あたしは何かとこの男に、絡まれてるわけで・・・・


「あ・・あのさ・・・」

急に流晴が言いずらそうに話し出した。

「な、何よ!?」

「その・・・」

ちょっと頬を赤く染めて。

「いつまで手ぇ握ってんの?」

「へっ?」

あたしの手を見ると、しっかり流晴の手と繋がっている。

「き・・きゃぁぁぁwww」

あたしは恥ずかしくなって、流晴を突き飛ばしてしまった。


ドン!!!
鈍い音がした。

「いってぇ〜」

「だっ、だってアンタが…」

「ひどッ。妃が転んでたから、手ぇ貸してあげただけなのに」

そ…そっか。忘れてた。流晴ってば、助けてくれたんだっけ・・・
なのに、あの態度・・
ちょっと失礼かも・・・。

「ごめん!!ちょっとびっくりして・・」

あたしは尻もちついている流晴の側に駆け寄って、しゃがんだ。

「・・・痛い?」

心配そうな顔で流晴に聞いた。

「別に」

そう言って、すぐに流晴は立ち上がってしまった。


ヤバ・・・怒った?
流晴ってあんまり怒んないから、怒らすと怖いんだよね・・・

「りゅ・・流晴?」

おそる、おそる名前を呼んでみる。


すると

「もーー妃って、もっと素直になれば可愛いのに・・」

そう言って流晴は振り返った。

え?何言ってんの・・・またからかって・・・

「ふん!そんな調子いいこと言って・・」

流晴はあたしにゆっくり近づいてきて、ニッと笑って。

「こーゅー妃の新鮮なリアクション好きだなぁ〜・・・」

と言ってあたしの頬にそっと手が触れた。

「な・・・なにす・・・」

あたしはパニックになってしまった。
自分でも心臓の音が早くなるのが分かる。


プニ

え・・・?

流晴の両手であたしの頬がつぶされる。


「あはは、妃の変な顔〜〜!!!」

「な、何すんのよ!?」

「まっかっかだゼ? 妃ちゃん♪」

バカにしたような流晴の笑い顔がある。

「な・・なぁ〜!!!」

あたしの声にならないような叫びを聞いて、笑いながら奴は去っていった。
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【154】Re:放課後レター
 柚子  - 08/8/22(金) 20:29 -
  
*3leeter*


「もぅ!!!聞いてよ、きみちゃぁ〜ん!」

あたしが甘えた声で親友のきみちゃんに言った。
“きみちゃん”っていうのは、もちろんあだ名。
木村 碧。【きむら みどり】だから、きみちゃん!!
あたしが考えたんだぁ★


きみちゃんは、高校に入ってからできた友達。
今はお互い親友同士!!!
こんなに気が合う子が見つかって、本当に嬉しいな。


「はい、はい、妃。また流晴くんとのノロケ話?」

「もぅ!!違うよぉ〜!!! サイテー朝から会っちゃって・・・
 お陰で始業式遅刻しちゃったよ!!」


そうなのだ・・・あそこでぐだぐだしていたせいで、結局遅刻してしまったのだ。
始業式が終わった後、流晴と2人でセンセに説教くらってたのだ。

もーーっ!!!センセ話長いんだからぁ。
でも、掃除はしなくて済んだけど・・・
みんなが掃除しているときに怒られてたんだから。


「だぁ〜れのせいだってぇ?」

後ろから覚えのある声がする。

「あ、流晴くん、おはよ。」

きみちゃんがあいさつした。

「おー! きみちゃん、おはよっ。」

あぁ〜!!!きみちゃんって言ったぁ〜〜・・・

「ダメッ!きみちゃんって呼ばないでっ!!」


きみちゃんと流晴が、きょとんとする。

「なぁに〜? もしかして・・・ヤキモチ?」

流晴が、からかったような顔をする。

「まぁ、まぁ、ヤクなって!お前のこともちゃん付けで呼んでやるから!!」

爽やかな笑顔でそう言う。

「違う!そんなんじゃない!!
 “きみちゃん”ってあたしが考えたのッ!!!
 それに、純粋なきみちゃんを汚さないでッ!!!」

「あたしより、妃の方が純粋だと・・・」

きみちゃんが苦笑いで言う。 

「はは〜ん・・・俺が汚れてると・・?!」

「じ・・自分の胸に聞いてみなさいよッ!」

「なぁんだと〜〜」


「おーーい!!また始まったぞー流晴と星埜のじゃれ合い〜」

クラスの男子が冷やかす。

「ちょっとーー流晴ッ!!妃ちゃんに構うんなら、あたし達も構ってェ〜〜」

うちのクラスの可愛いコ達が、甘い声を出す。


すると。


「構う、構う〜〜!!俺も混ぜてーー」

って流晴が女の子たちの所に行く。
これが普段の光景。

もーー。なんであんな奴がモテるんだろ?
しかも、流晴だって来る者拒まずの軽〜い男だし・・・
あたし、そんな人ヤダけどなぁ・・・


あたしなんかに構わないで、とっとと可愛いコたちの所に
行けばいいのに――・・・


「流晴くんがいっちゃって、寂しい?」

隣から声が聞こえた。

「え、えーー?!!なに言ってるの、きみちゃん!!!」

「流晴くんって軽く見られがちだけど、
 まだ誰とも付き合ったことないんだってよ?」

「え〜?!そんな訳ないじゃんッ!!!騙されたんだよ、それ!」

「でも、本人から聞いたよ?」

「えっ!?」


許せんーーー!!!きみちゃんまで、騙すとは・・
あたしなんか、しょっちゅう騙されてるのに――・・・


あたしの好きなアップルティーに「自分家で作った」とか言って
砂糖と塩を間違えたやつ、飲ませたり。
国語の授業中、先生が言ったページと違うページ教えて、大恥かいたり。
机の中に、へびのおもちゃ入れて、あたしを脅かしたり・・・

あぁ〜あれは気持ち悪かったなぁ・・・
机に手入れたら、ニュルって感触がするんだもん。
その後、大騒ぎになったのは、言うまでもない訳で・・・・


でも一番、酷いと思ったのは


あの手紙――――・・・・
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【163】放課後レター
 柚子  - 08/9/15(月) 22:37 -
  
*4leeter*


キーンコーン カーンコーン


放課後のチャイムが鳴る。
今日は、始業式だから早めに学校が終わる。
まだ12時っ

これから部活の人も、友達と遊ぶ人も
みんな慌ただしく教室から出ていく。
あたしもその中の一人なワケで・・・
みんなと教室から出ようとしていた。

これから、きみちゃんと他の友達と遊びに行く約束をしているのだ!!!
久しぶりだから、すっごく楽しみ☆


「ばいば〜い」

教室にいる子達に声をかける。
チラッとあたしの席を見ると、
そこには流晴たちがたむろっていた。
まぁ、隣は流晴の席なんだけどね・・・

そんなことを考えていると
バチッと流晴と目があってしまった。


「あ?妃、もー帰ンの?」

「う、うん」

不意だったので、なんだかどもってしまった。

「流晴は?まだ帰んないの?」

「んー、もうちょっとで帰る」


「妃ぃ〜?!置いてくよーー」

廊下できみちゃんの声が響く。

「えぇ??待ってよぉ〜」

あたしがそう答えると、

「んぢゃぁな」

と流晴が言った。

「う、うん。ばいばい・・?」


流晴の態度に違和感を感じながらも、
きみちゃんたちのいる廊下へと急いだ。

なんだろ?さっきの流晴・・・
いつもと違う・・気がする。
やけに、あっさりしていたとゅーか…
いつもみたいに、からかわれると思ったのに。


「あ!妃!!」

後ろから思いついたように、流晴に声をかけられた。

「お前の下駄箱、注意しろよ!」

「う、うん?」

何がなんだか分からず、とりあえず返事をして
教室を後にした。


「ごめん、ごめん。」

廊下で待っててくれたきみちゃんたちに謝る。


「じゃ、行こっか!」


みんなで玄関まで向かう。
これからどこに行こうか、なに食べようかで
すっかり盛り上がってしまって、
流晴の謎の言葉はすっかり消えてしまっていた。


玄関に着き、自分の下駄箱に手をかけて、
一瞬開けるのをためらった。
ふいに流晴の言葉が頭の中に蘇る。

 “お前の下駄箱、注意しろよ!”


あれは一体どういう意味なんだろう?
おそるおそる自分の下駄箱を開けてみる。
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【164】放課後レター
 柚子  - 08/9/18(木) 0:55 -
  
*5leeter*


「きゃっ!」

あたしは少しだけ大きな声を出してしまった。


だって…


下駄箱を開けると―――・・・・


「か…カエル?!」


なんと蛙が飛びだしてきたのだ!!!


「…と思ったら、カエルのおもちゃかぁ・・・」


びっくりした。
こんなことをするのは、絶対に、ぜ〜ったいに
ヤツしかいないッ!!!!

あぁ…だから流晴、下駄箱に注意しろ!なんて言ったんだぁ…
そういえば、帰るとき、やけにあっさりしてたし。


「妃?どうかした?」

きみちゃんが声をかける。

「う、ううん。なんでもないっ!!」

あたしはとっさに、そのカエルのおもちゃを後ろに隠し、
少しあとずさりをした。


カサッ


足になにかの感触がした。
どうやら、紙らしいものを踏んづけてしまったようだ。


「そう?ならいいんだけど…」

きみちゃんは少し不思議そうな顔をしている。
だが、すぐに他の子とおしゃべりを始めた。


あたしは、しゃがみこんで、踏んづけてしまったものを確認する。


白い封筒だった。
後ろをめくってみるが、名前は書かれていない。
多分、あたしの下駄箱から落ちたんだろう。
それまで、その床には何も落ちていなかったんだから。

間違っていたら悪いと思いつつも、
封筒の中身を見てみる。


そこには――――


 『星埜 妃様

   放課後、お話がありますので裏庭まで来て下さい。
   待っています。』


とだけ書かれていた。


差出人の名前は書かれていなかったが、
あたしの頭の中には1人の人物の顔が浮かんだ。

絶対、あいつだ…!!!
あいつしか、いないもんッ!!


「妃、もう行こう?」

きみちゃんが、あたしに向かって言う。

「……ごめん、きみちゃん。急に用事ができちゃった・・」

「えぇ〜?!」

きみちゃんが驚いた声を出した。

「ごめんね。楽しんできてね」


きみちゃんたちと別れて、さっそく呼ばれている裏庭へと向かう。


もぉ〜!!せっっかく、久しぶりに遊べると思ったのにぃ〜〜
こーなったら、ただじゃおかないッ!!!
一言、文句を言ってやらないと気が済まないッ!!!!


裏庭へと到着した。
辺りを見回すが、誰もいない。
差出人は、まだみたいだ。


あたしの後ろの方で、足音がした。
誰かが歩いてくる。


「もぉ〜!!!こんなところに呼び出して一体なんの用よ!
 せっかく今日は、きみちゃんたちと遊べると思ったのにぃっ
 また、あたしをからかう気?
 だいたい、今日のカエルのおもちゃ…あれ何なのよ!!
 もぅ、すっごくびっくりしたんだから!!!
 ちょっと、なんとか言ったらどうなの?!流晴っ!!!」


一気にまくしたて、あたしは後ろを振り返った。


え?


あたしは目を疑った。
だって、あたしの後ろにいたのは――――
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【170】放課後レター
 柚子  - 08/10/28(火) 6:17 -
  
*6leeter*


あたしの後ろにいたのは―――・・・


あいつじゃなかった・・・


流晴じゃなかった・・・


「――須藤くん?」


あたしの後ろにいたのは、須藤 蓮【すとう れん】くんだった。

須藤くんは、陸上部のエースで、なんだかスゴい記録を
もっていると聞いたことがある。
あたしはよく、分かんないんだけど・・

隣のクラスで、体育のときくらい一緒なだけで、
あまり喋ったことはないのだけれど、彼は有名だから大抵の人は
彼のことを知っている。

なにせ、陸上部のエースだし、かっこいいし、
女の子にすごくモテるからだ。
放課後のグランドは、女の子の見学でいつも賑わっている。


はッ!!


あたし・・さっき何言った?!
そんな大きい声出して・・・恥ずかし〜〜っ
もう、須藤くんの顔見れないよ・・


あたしはぐるんと須藤くんに背を向けた。


てか、須藤くんもここに呼び出されたのかなぁ?
えぇーー、同じ場所って・・・
流晴、早く来ないかなぁ。


もしかして―――・・・・
また前みたいに、からかわれてたり―――


あたしも前、こういう風に下駄箱に手紙が入っていたことがあって、
そういうこと、初めてだったから。
ちょっと・・いや、すっごく嬉しかった。
だって、大概の人はこういう手紙、ラブレターだと思うじゃない?
まぁ、今時ラブレター?!って感じもするけど・・・

だからあたし、ちょっとドキドキして、その場所に行ったの。
そのときも、差出人が書いてなくって、
その場所に行っても、まだ誰も来てなくって、
ちょっとの時間、こうやって待ってた気がする―――


そしてやってきた人物は―――・・・


「・・・さん?」

「星埜さん・・?」


後ろから、名前を呼ばれて、ふっと我に返った。

「は・・・はいッ?!」

急に呼ばれて、大きな声を出してしまう。
須藤くんがあたしの名前を呼んだ。


「あの、星埜 妃さんだよね?」

「・・はい」

同い年のくせに、緊張してる。
だってこんなに近くで、須藤くんのこと見るの
初めてだったんだもん。
それに、話すのだって初めてだし・・


「あの、急にこんなところに呼び出してごめん。」

須藤くんは、下を向きながら言った。


えっ??!! 今、なんて?!
この手紙・・・須藤くんが書いたの?!
うそッ!!! なんで?!
流晴じゃないの・・??

あたしの頭は?マークばかりで、混乱していた。


「あの、えっと・・・」

須藤くんは言いずらそうに、頭をかきながら下ばかり向いていたが
急に、あたしの目をしっかり見て。


「あの! 好きですっ!!! 俺と付き合ってください」


えぇぇぇ〜〜〜ッ??!!
い・・・今・・・なんて・・・・?!

あたしの頭はさらに混乱してしまった。

なんで?!
なんで、須藤くんが?!
なんで、あたしなんかを――・・??!!


「あ・・あの・・・あたし・・・」


あたしが返事をしようとしたら、口の前に人差し指が立っていた。


「すぐに返事をもらおうと思ったわけじゃないんだ。
 びっくりしたよね? ごめん。」

そう言った須藤くんの顔は、すごく優しい顔だった。

「あまり知らないからっていう理由で、断らないでよね!」

須藤くんは、ふざけたような口調で言った。

「じゃぁ、まずは友達からで!」


あたしの頭の中は真っ白なのに、どんどん話が進んでいく。

「・・名前」

「え?」

「‘須藤’じゃなくて‘蓮’でいいから」

そういう須藤くんは、恥ずかしがっているのか
横を向いて、頭をかいている。

「・・・じゃ、じゃぁ、蓮・・・くん」

あたしがそういうと、蓮くんは顔を真っ赤にした。

わぁ!!! 須藤く・・いや、蓮くんってこんな顔、するんだ!!
初めて見る顔に、少し嬉しくなって
まじまじと蓮くんの顔を見てしまう。

すると、もっと顔を赤くして、

「そ、そんなに見ないでよ・・・」

と言った蓮くんが可愛くて、少し笑ってしまった。

「あ、あぁ!!笑ったなっ!!!」

「あはは、ごめん」

「ふん。・・・こんなところに呼び出して、悪かったな」

蓮くんがふてくされたように言った。
そしてふいに、

「じゃぁ、気を付けて帰ってねッ! ―――・・妃ちゃん・・」


と言って、走っていってしまった。
後ろ姿の蓮くんの耳は、真っ赤で、また少し笑ってしまった。
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【171】放課後レター
 柚子  - 08/10/31(金) 0:56 -
  
*7leeter*


ぼーっとしながら家に帰った。


まだ、信じられない・・
あの、あの須藤 蓮がなんであたしなんかを―――??!

でも嘘なんかついてるようには
見えなかったし・・・
からかってもなかった。


「―――手紙」


あたしは思い出したかのように、今日もらった手紙を見た。


『放課後、お話がありますので裏庭まで来て下さい。』


そして、引き出しからもう一枚の白い封筒を取り出した。


『放課後、話したいことがあるので、教室に残っていて下さい。』


そして『お願いします。』と書かれていた。


そうこれは、前にもらった手紙。
なんだか捨てられなくて、とっといてあるんだよね。


――――あのときも、なかなか現れなくて教室でずっと待っていた。


ガラッ。

教室のドアが開いた。

最初は、緊張して立って待っていたあたしだったが、
なかなか相手が来ないので、いすに座っていた。

が、ドアが開いた途端、反射的に立ってしまった。

相手は―――・・・


「なんだ、星埜?まだいたのか?」


――――先生だった。


「・・・はい。」


あたしは肩を落として答えた。


「もう下校の時間だからな。早く帰れよ!」

「はぁ〜い」


早く帰れって言われたってなぁーー・・
んーー、早く来ないかなぁ・・
もう帰っちゃおうかな・・・


そう思っていたとき、再びドアが開いた。


誰?そう思って見ると――――


そこには―――・・・流晴がいた。


え・・・?! 流晴ッ??


「き、妃・・まだ残ってたのか?」

流晴はドアの所で動かないまま言った。

「・・・うん。ちょっと人待ってて・・」


――なんだ・・手紙の主、流晴じゃないんだ・・・


「流晴は?こんな時間にどうしたの?」


流晴って、確か部活には入ってなかったよね。
変なの、こんな時間に・・


「あ、いや、ちょっと――」

曖昧気味に答えて、あたしの方に近づいてきた。


「妃。」

「ん?」


教室にはふたりしかいない。
流晴が話さなければ、周りはものすごく静かだ。
この静けさが、なぜだかすごく緊張させる。


「・・・あの、手紙・・・・」

流晴は言いにくそうに、やっと一言話した。


手紙―――??!
あれ、流晴が書いたのッ??!!
なんで〜〜??

あたしの頭はパニック状態だった。


「妃、俺―――・・・」


流晴のちょっと低い声が響く。
あたしを見つめる流晴の瞳がまっすぐで、すごくドキドキした。


えっっ??!! 嘘でしょ?!
えぇぇぇ〜〜!!!!


「――――・・・本気にしたッ?」


は?


「もーー、妃ってば、本気にしちゃってかわいーー!!!」


????


「今時、ラブレターなんて・・あるわけないじゃんッ!!
 ごめんね?期待させて・・・
 もしかして、初めてだったぁ?!」


こンの男〜〜〜〜ッッ!!!!
あたしが一体、どんだけ待ったと思ってんのよッ!!!!
なのに・・
サイテーーっ!!!
ただ、あたしをからかってただけなんだ・・・


「――――せいの、流晴のばかぁぁーーーー!!!!!」


それであたし、一発殴って帰ったんだった・・・


はぁ〜。さすがにこれは酷いと思ったぁ・・
乙女のハートはボロボロですよ・・・
まったく、これで人間不信になったらどうしてくれるんだよ!
バカ流晴!!!


だから、今度の手紙もヤツだって思ったのに・・・
蓮くんから・・・なんだよね。


まだ、このことに信じられないまま、
あたしは深い眠りに落ちていくのだった。
頭の中では、なぜだか知らないが
蓮くんと・・・流晴の顔が消えずに残っていた――
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