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【75】O-本編試作改02
 REDCOW  - 08/11/12(水) 23:28 -

引用なし
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「くそぉ、お前がなんでガンダムなんだよぉ!」
「うへへ、おれにしか合わないって言うんだもん。仕方ないだろ?」
「ちぇ、F92良いなぁ。」
 
 
 少年達の視線の向うには、多くのモビルスーツの姿があった。
 パイロットルームで待機する事が命令され、ドックの機体を見ながら待機しているのは、先程羨ましがった少年とそれを自慢する少年、その他にもう一人の少年と少女の姿があった。
 羨ましがっていた少年はシドー・トクガワ少尉といい、アカデミー在学中だがエリート士官コースを進む生粋のニュータイプ。そして、もう一人の自慢していた少年もニュータイプで、名をグレイ・スタインバーグと言い、彼もまた階級は少尉だ。
 二人がじゃれていると、そこに冷静にもう一人の少年が忠告する。
 
 
「グレイ、シドー。君らは機体システムのチェックを済ませたのか?もうすぐ大尉が来る。その時に済ませてなかったら…知らないぞ?」
「あ、やっべー!?」
 
 
 二人は慌てると、すぐにドックへと走って行った。
 二人に忠告を与えた長いプラチナブロンドの髪の少年はマーカス・サンディベルトと言い、階級は中尉で二人より一つ上の階級にあり、彼らの中ではリーダーの様なポジションを任されている。だが、普段の彼らとの関係もどちらかというと兄と弟の様な関係だ。
 彼もまたニュータイプで、アカデミーをトップの成績で在学中の生徒だ。
 彼に言われて慌てて二人が走り去ったのを見て、マイペースに椅子に座って読書をしていた少女がマーカスに言った。
 
 
「あなたも意地悪ね。自分で分かっているなら、さっさと教えてあげればいいじゃない。」
「ワルツワンドこそ、知っていたんだろ?」
「知っていたら教えてるわ。ベーだ。」
 
 
 彼女は悪戯っぽく舌をだして返答すると、メガネを外してライトブラウンの髪を掻上げた。彼女はワルツワンド・ヘンリークと言い、彼女もまた他の3人と同様にニュータイプの才能を持っている士官候補生だ。
 
 
「しかし、ヘンリーク総監もよく君をここへ出したね。今もって不思議だよ。」
「良いのよ、あのベタ可愛がりの父には良い薬。子は旅をしたいのに、馬鹿な父を持つと大変なのよ。だーかーら!ジュドーには感謝してるのよーだ。」
「君くらいだよ。ジュドーって呼び捨てにできるのは。」
「そう?そんなに階級に縛られてちゃ、生きて行けないわよーだ。」
 
 
『はっはっは、相変わらずだな。』
 
 
 そこに現れたのは、端正な顔立ちをした大人の色気も漂う彼らのチームリーダーである、オルドー・セット大尉。
 彼はこの少年たちで構成されたパイロット見習いを率いることを任された、言わば教官兼務の上官だ。しかし、先のエウロパ戦争ではトップの撃墜成績を残し、軍の撤退に大きく貢献したことが知られており、撃墜王という異名も持つ。
 だが、そんな異名を持たずとも、彼の黒髪に桃色のメッシュを入れ短く刈り込んだ頭は、遠くからでもとてもよく目立つ。
 
 マーカスとワルツワンドはすぐに姿勢を正して敬礼した。
 彼はそれに軽く礼を返して直すと、笑って言った。
 
 
「どうやら、あの悪戯小僧二人は慌てて調整に向かったようだな。」
「…大尉、申し訳有りません。自分の監督責任です。」
 
 
 マーカスが深く礼をして謝罪した。
 オルドーは苦笑しつつ礼を戻させ、頬をぽりぽりと掻きながら応える。
 
 
「…おいおい、お前が謝ることじゃないだろ?セットアップは自分の責任だ。死にたくなかったらしっかりやる!それが軍ってもんさ。…はぁ、あいつらはまだまだ青いな。」
「ねぇ、隊長。」
 
 
 そこにワルツワンドが目をうるうると輝かせて彼に尋ねた。
 その目を見たならば、並の男なら誰もがぐっと来るに違いない…が、当の相手はと言えば、どうやら以前にもこの目を見たことがある様だ。
 
 
「…なんだ。」
「その…いつ見ても綺麗なピンクですね!」
「…お前の褒め言葉は聞きたくないぞ。」
「えー!どうしてですか〜?その、あたしの機体カラー、隊長のステキなメッシュと同じピンクにできないんですか〜?」
「…はぁ〜、まだ拘っていたのかぁ。」
「だってぇ〜、F92じゃないんだから、それくらい〜。」
「お前なぁ。コックピットをピンクにしただけで十分だろ?塗装も大変なんだぞ。」
 
 
 彼の視線がドックの彼女の機体コックピットに、まるで光学1500倍ズームでもしたかの様に飛んだ。
 そこには他の機体とは明らかに違う全面桃色で、殺伐とした雰囲気の対局にあるだろうファンシーな雰囲気が漂う、おおよそ戦術兵器としての軍の機体とは思えないコックピットの姿が有った。その内装は単なるピンクではなく、ご丁寧にもパンダとハートの模様が描き込まれている念の入れようだ。
 
 
「ビームコーティングのカラー変更でなんとかならないんですか〜?」
「あのなぁ、お前の機体って光学遮蔽対応じゃなかったか?」
「…はい。」
「色なんて見せる必要無いじゃないか。金の無駄無駄。」
「え〜〜〜!ブゥーブゥー!!!。」
 
 
 彼らがそんな話をしていた頃、ドックへ駆けて行った二人は各自の機体コックピットで調整を始めていた。

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【83】O-本編試作改08 REDCOW 09/3/21(土) 12:51
【84】O-本編試作改09 REDCOW 09/3/21(土) 12:52
【85】閑話休題 REDCOW 09/6/12(金) 14:34 [添付]
【86】色々と他の機体の道筋ださないと REDCOW 09/6/17(水) 1:55 [添付]

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